ブックタイトル目指せ感染症マスター！抗菌薬処方支援の超実践アプローチ

概要

目指せ感染症マスター！抗菌薬処方支援の超実践アプローチ

32尿路感染症医師からの問い合わせ入院中の患者さん尿路感染症のようだけどおすすめの抗菌薬は？1心原性塞栓症発症後の発熱■ 患　者　87歳　女性，ADLは自立，独居■ 現病歴H病院で大動脈に2ヵ所ステント術施行，1ヵ月後退院．その後老健施設へ入所したが4ヵ月後退所し独居中であった．自宅で深夜トイレに起きた後，意識消失あり転倒し，頭部・顔面を強打した．詳細は不明だが，その後，多発性脳梗塞で当院に入院となった．入院時より39℃台の発熱があった．担当医は尿路感染症を疑い，尿培養を週末に依頼した．週明けにも尿のグラム染色を依頼し，再度尿培養が提出された．■ 既往歴　 高血圧（内服中），胸部大動脈瘤（H病院にてステント術施行），脳梗塞（3回：入院治療），子宮後屈（手術歴あり），胆石（手術歴あり），白内障（両目手術歴あり）■ 処方薬（現在使用中の薬剤）【内服薬】センノシド錠12mg 1回1錠 1日1回就寝前エチゾラム錠0.5mg 1回1錠 1日1回夕食後パロキセチン錠10mg 1回1錠 1日1回夕食後チクロピジン錠100mg 1回1錠 1日1回朝食後ファモチジン錠10mg 1回1錠 1日2回朝夕食後ニフェジピン徐放錠20mg 1回1錠 1日1回朝食後アラセプリル錠25mg 1回1錠 1日1回朝食後バルサルタン錠80mg 1回1錠 1日2回朝夕食後ドキサゾシン錠2mg 1回2錠 1日1回就寝前【注射薬】①アセテートリンゲル液 500mL　24時間点滴静注②ヘパリン 1万単位　 ①へ混注し24時間点滴静注■ 身体所見身　　長：155cm，体重：45kg全身状態：悪くはないバイタルサイン：血圧150/70mmHg，脈拍70/分，呼吸数15/分，体温39.0℃，SpO2 98%（室内気）頭 頸 部：貧血・黄疸なし，咽頭発赤なし心　　音：不整，心雑音：記載なし肺　　音：湿性ラ音（cracle），喘鳴（wheeze）なし腹　　部：平坦軟，圧痛なし背　　部：CVA（肋骨脊柱角）叩打痛軽度あり，本人は「腰が重い感じがする」と訴える程度症　例