ブックタイトル薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査

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概要

薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査

241バンコマイシンの投与設計の実際?基 本 編1 何がわかる? バンコマイシンは,MRSA をはじめとしたグラム陽性菌に抗菌スペクトラムを有するグリコペプチド系抗菌薬である.医療現場において最もTDM が普及している薬剤の一つで,国内では抗菌薬TDM ガイドライン1)によって方法や手順の標準化が進められている.PK/PD理論の分類上,効果はAUC に相関すると考えられている.MRSA感染症では,バンコマイシンの24時間AUC/MIC を400以上に確保することが目標となり,他のグラム陽性菌を標的とした治療においても,これに準じた投与が行われる. 有効性の確保,薬剤低感受性株を選択する危険性の回避,安全性の確保のために,適切な投与設計と血中濃度に基づいた調節が重要である.2 いつ,どのタイミングで行う?a.TDM の適応● バンコマイシンの投与設計に必要な患者情報は,体重と腎機能である.● 適切な初期投与設計は,すべての患者で必要である.● 血中濃度の測定は,4日以上の投与を予定している場合に実施し,血中濃度に基づいて投与スケジュールを調節する. バンコマイシンの使用にあたっては,治療目的で投与するすべての患者に適切な初期投与設計を実施することが望ましい.抗菌薬TDMガイドラインでは,3日目のトラフ値を10~15μg/mL として初期投与設計を行うことを推奨し,eGFR(標準)による腎機能別の体重換算によるノモグラム使用を提案している1).バンコマイシン初期投与設計のための代表的なノモグラムは,ほかにThomson ら(目標トラフ値10~ 15μg/mL)2),Matzke ら(目標トラフ値7.5μg/mL)3),Vandecasteele ら(目標トラフ値15~ 20μg/mL)4),Moellering ら(目標平均血中濃度15μg/mL)5)などがある.バンコマイシンの投与設計の2 実際