ブックタイトル薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査
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薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査
第4 章 微生物学的検査による病原微生物の推定と同定─ 臨床検査技師と薬剤師との共通言語─88る感染症を示唆しており,その細菌が好中球に有意に貪食(貪食像)されていれば起因菌の可能性を考慮することできる. 急性期の感染症において,抗菌薬投与前の感染臓器から採取した検体中の起因菌の菌数は,優位に存在しているはずである.例えば,中間尿は尿路感染症の診断補助を目的に菌数の定量培養を実施する.一般的には,分離した菌数が105CFU/mL以上であれば優位と考えて起因菌と評価する.同様に,グラム染色でも簡易的に菌数を観察することが可能である.標本の作製法は,スライドグラスに尿をスポイトで1滴滴下して乾燥・固定した後に染色する.そして,顕微鏡で観察(1,000倍)したときに1視野に1個以上の細菌が認められた場合,菌数は定量培養の105CFU/mL以上に相関する. また,感染症の生体反応を利用した貪食像(好中球が起因菌を取り込み溶菌するさま)の確認は,常在菌や保菌している耐性菌などの混入がみられる検体から起因菌を絞り込む場合に有用な所見である(図4-2).採取時に常在菌の汚染が避けられない検体の場合,保菌する耐性菌が培養検査で検出されてしまうことを常に考慮するべきである.培養検査で報告された耐性菌が起因菌か汚染菌なのかを判断するときには,グラム染色所見も併せた評価が抗菌薬の適正使用のためには重要である.図4-1 喀痰の質の評価:グラム染色所見(100倍鏡検)a 膿性痰(良質検体:Geckler の分類?G5 b 唾液性痰(不良検体:Geckler の分類?G1図4-2 好中球の貪食像:グラム染色所見(1,000倍鏡検を拡大)a 膿性痰:グラム陰性桿菌(緑膿菌)が貪食されているb 膿汁:グラム陽性球菌(黄色ブドウ球菌)が貪食されている