ブックタイトル薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査

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概要

薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査

第5 章 各種病原体に対する検査とその解釈118基 本 編1 どんな検査をする? インフルエンザは,主に冬期に流行する呼吸器ウイルス感染症であり,通常は数日から約1週間の経過で治癒に向かうことが一般的である.しかし,高齢者や基礎疾患をもつハイリスク群がインフルエンザに罹患すると,肺炎および心不全などの合併症により死に至ることもまれではない. インフルエンザの診断に際して,抗原を検出することが重要であることは言うまでもない.しかし,迅速診断検査の感度は必ずしも高くなく,必要に応じてPCR法を用いた遺伝子診断を実施する必要がある1). 国内で市販されているインフルエンザ迅速診断検査は約20種類あり,さまざまな迅速診断検査が臨床的に使用されている.表5-1に示すように,インフルエンザA およびB が検出可能であり,またpandemic H1N1 2009ウイルスを検出可能なもの,またはRS ウイルスを検出可能なもの,などの特色を有する. 迅速診断検査において陽性であった際には,その情報は極めて有用であるものの,その感度は60~ 70%なので2),迅速診断検査の結果が陰性であったとしても,インフルエンザを否定してはならない.むしろ疫学情報,および臨床診断が優先されるべきである. また,最近の話題として,2013年に中国で地域的な流行を認めた鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが検出できるか否かは重要な課題である.国立感染症研究所では,国内で市販されているインフルエンザ迅速診断検査の鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに関する反応性を検討し,ホームページで公開している3).2 いつ,どのタイミングで行う? まず迅速診断検査の感度と特異度を理解しておく必要がある2).それに加えて,小児と成人での感度の違い,ウイルスの種類による感度の違い,検体の摂取部位での感度の違い,および時間の経過と感度の違い,などが重要である.これらについてメタ解析の結果を表5-2および表5-3に示す2).これによれば,小児においてより感度が高く,インフルエンザB ウイルス1 インフルエンザ