ブックタイトル在宅医療X感染症

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概要

在宅医療X感染症

討論者 在遠藤光洋 × 感大曲貴夫 遠藤:在宅医療の対象となる患者さんは,以降の各セッションで議論があるかとは思いますが,一般的に通院困難となった方ですので,虚弱高齢者や末期がん患者,ALS などの神経難病患者,超重症児とか高度医療依存児者と呼ばれる,生まれながらにして,あるいは生まれて間もない頃に人工呼吸器を装着されたり,胃瘻による経管栄養を使用している患者さんなど,病院の外来や一般病棟ではあまり遭遇しない患者さんの割合が多いかと思います(表1-1). ケースバイケースですが,病棟または外来通院から在宅へ移行する患者さんは,通院が困難であるばかりではなく,治療の見込みがないケースも少なくありません.1 回在宅へ帰った後は,たとえば肺炎などの感染症を発症して治療が必要になったとしても,簡単には内科外来や救急外来を受診できません.在宅医がフォローしているケースではもちろん,状態変化に際しては在宅医が対応するのですが,自宅(または施設)での治療や検査には制約も多く,レントゲンを撮ることも大変です.また,抗菌薬投与に関しても,マンパワーの問題があり,点滴をするにしても1 日1 回投与がやっとのことが多いと思います. さらに,難病に罹患していたり,末期がんで予後が厳しいと宣告されている場合には,患者さん本人またはご家族が,点滴などの侵襲的な治療はなるべくしたくないと希望されることも多いです(表1-2). また,高齢者の肺炎は一般的に重篤化しやすいと思われますが,「医療・介護関連肺炎nursing and healthcare-associated pneumonia (NHCAP)ガイドライン」1)でも指摘されているように,患者背景を考慮しながら肺炎治療にあたるよう,医療者の意識も変わりつつあるようにも思います. そこで,本書での議論を進めるにあたって,大曲先生に,感染症診療に関わっているご経験の中で,在宅医療と連携するにあたり気になっていることなど,ご意見があればお伺いしたいと思います.どうかよろしくお願いいたします.在宅患者さんの背景は実に多様在11 在宅医療の対象となる方の感染症にはどのような特徴があるのか患者背景