ブックタイトル在宅医療X感染症

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概要

在宅医療X感染症

討論者 在遠藤光洋 × 感大曲貴夫症 例 肺がん末期の60 代の男性.  200X 年4 月に肺腺癌ステージⅢの診断で,右肺切除術を施行.以後約2 年間は転移もなく経過良好だったが,200X+2 年3 月になり肺内転移がみつかった.化学療法も試みられたが,効果なく治療の継続は断念.同年8 月時点で予後は半年程度との告知が本人,家族になされた.同時期より同院の緩和ケア科も併診.右肋骨への転移もあり背部痛,呼吸苦も認めたことからオピオイドおよびステロイドの内服投与が開始された.胸水貯留,酸素飽和度の低下も認め,在宅酸素療法が翌年1 月より開始された.ADL 低下も認めるようになり,同時期より訪問診療を開始.その後訪問看護も受けるようになった. 訪問診療開始約2 週間後「前日から37.8℃の熱があり,咳・痰も増えてきた.食欲も落ちてきた」と妻より診療所へ連絡があり同日往診を行ったところ,体温37.7℃,SpO293%(HOT1 L/ 分),血圧116/74,脈88 回/ 分であった.右肺野にcoarsecrackles を認め,肺炎が疑われる状況であった.本人は在宅での治療継続を希望した.【在宅環境】 妻(60 代)と2人暮らし.既婚の長男家族が車で10 分程度の近所に住んでいるが,仕事や子育てなど多忙のため,介護への協力は難しい.ケアマネジャー,訪問看護師(週1回),訪問診療(週1回),訪問薬剤指導を利用している.【本人,家族の意向】 本人,妻ともに,治療による改善の見込みはなく,予後が短いことは理解している.本人は自宅で最期を迎えたいと考えているが,妻は急変時の対応などに強い不安がある.長男は本人の意向を尊重すると言っている.なお急変時,状態が悪化した場合はA病院で受け入れ可能であることは,病院側,家族ともに了承している.2 末期がんの在宅患者の肺炎肺 炎7