ブックタイトルトラベル&グローバルメディスン
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トラベル&グローバルメディスン
48目的とリスク 渡航目的・形態によって健康面での注意点や個々人の健康情報収集先が変化することはよく知られている.海外赴任であれば健康管理室・検疫所,個人旅行なら目を通したとしてもウェブサイトやガイドブック,友人・親戚訪問なら現地の方の話を聞くなどが良い例であるが,トラベルクリニックで認定医療職から適切なアドバイスを得る習慣は日本ではまだ少なく,予防策に関する正しい認識も乏しい1).これは根拠のない誇張されたワクチンの副反応に対する恐怖感であったり,プロフェッショナルよりも知人・同僚の意見を重要視するという国民性が見え隠れする.本項では,代表的な渡航形態別にそれぞれに潜む問題点と打開のための考察を指南していく.① VFR VFR とは厳密には社会経済的観点から定義され,途上国などの出身者が先進国などで生活し,家族をもち,相当な期間を経て母国に一時帰国などをすることにあてられていた用語であるが,筆者はBarnett らと同様に「健康保健衛生面からの観点に立ち,民族・社会・経済的背景に束縛されず,異なった衛生環境に居住する友人・知人・親戚に渡航者として訪問する渡航者」という新たな定義2)に賛成する(コラム1 参照). いずれの場合でもVFR では表4?A?1 のような疾病罹患リスクが高くなるとされているが3),ことにマラリアと腸チフスの発症率が上昇するため,予防薬とワクチン接種が肝要である.さらに現地友人・知人からの情報を頼りにするのではなく,トラベルクリニックから情報を得た方が安全である.しかし,現実は専門家のアドバイスよりも友人・知人のアドバイスに従い,そのような情報源があるため費用を払ってまでも情報を得ようとしないハイリスクな渡航者が多いと考えられる.ただでさえVFR の狂犬病曝露リスクは増加するうえ4),子ども連れのことも多い.子どもは体が小さいため,咬傷部位が中枢神経系から近い距離になりやすく,咬傷のA海外渡航プロジェクトは壮大なものである.その中で自らの関与すべき箇所で独創的な対話をより簡潔に行わなければならない.エイドリアン・ジョージ熱性疾患(マラリアなど)非下痢性消化管寄生虫呼吸器疾患結核性感染症表 4?A?1 VFR でハイリスクとなる疾病4