ブックタイトルトラベル&グローバルメディスン
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トラベル&グローバルメディスン
4 海外渡航49事実を隠すため,狂犬病発症リスクは成人の4 倍とも報告されている5).また,子どもの経口感染症にも注意を要することが多い(12?C 参照).② 仕事での渡航 仕事での出張で想定される健康被害を表4?A?2 に示す.個人旅行とは異なり,予防措置に対して企業がある程度費用負担をしてくれるので罹患者は比較的少ないはずだが,未承認ワクチンが企業負担でない場合,個人の意識の高さと予算が罹患者数と関係するだろう.仕事での渡航の最も特徴的なことは,健康被害が入院費と企業の大きな損失となることである4).海外出張者に対してトラベルクリニックがやってはいけないのは,小児期からのワクチンのアップスーパーマーケットのない国では露天での買物となる.魚も鶏もこの場でぶつ切りにして手渡される.まな板と包丁の衛生状態は推して知るべし.まな板の使用方法は先進国でも注意が必要である(12?D E 型肝炎,トキソプラズマの箇所参照). (近 利雄撮影)ハエは当然たかるものである.節足動物媒介経口感染症への注意を忘れてはならない. (近 利雄撮影)・辞令発布から出発までの日数が短いため強く推奨されるワクチン接種ができない・ 会社指定の医療機関でベルトコンベア式にワクチン接種を受けたり,プリント手渡しのみといった健康管理教育の不備により生じる現地での健康被害・短期間の出張を頻回に繰り返すことで積算リスクとしては長期滞在同様となる事実が軽視されがち. さらに時差を解消する時間がない,短期滞在こそ,現地で病気になる時間的ロスを避けるべき,といった独特のリスクもある・ 通常は都会で高級ホテル滞在だが,なかには郊外への出張やレクリエーションもありうる(マラリア,日本脳炎,狂犬病などのリスク)・現地を満喫するために屋台や風俗店を利用する可能性・不慣れな場所での治安上の問題・受け入れ国の法律・風習を知らずトラブルに巻き込まれる可能性・ 本人は事件に巻き込まれていないが,会社・同僚にはそのような情報が伝えられる「架空誘拐」などもある表 4?A?2 海外出張で想定されるリスク