ブックタイトルケースに学ぶ 高齢者糖尿病の診かた
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ケースに学ぶ 高齢者糖尿病の診かた
28.フレイルにはどう対応する? 14928 フレイルにはどう対応する?1 狭義のフレイルとその定義 フレイル(frailty)は,加齢に伴って予備能が低下し,ストレスによって恒常性が破綻しやすく,要介護や死亡などをきたしやすい状態と定義される(図28 - 1).フレイルは健康と要介護になる前の段階であり,運動や栄養などの介入によって健康な状態に戻すことができることが重要な点である. フレイルには多くの定義があるが,もっとも有名な定義はL. P. Fried らのフェノタイプ(表現型)に基づいたフレイルである.Fried らは,体重減少,疲労感,歩行速度低下,筋力低下,活動性低下のうち3項目以上あてはまる場合をフレイル,1~2項目あてはまる場合をプレフレイルとしている1).このフレイルは狭義の身体的なフレイルで,主としてサルコペニアや低栄養に基づいた概念である.サルコペニアと低栄養はフレイルサイクルという悪循環を形成する. Fried らのフレイルは,筋力,歩行速度,身体活動量を測定しなければならないため,実際の臨床の場で評価するのは大変で,時間がかかる.また,5 項目のなかで疲労感や筋力低下はほかの因子を補正すると関連が弱くなるといわれている.さらに,認知機能障害は,転倒,要介護,死亡のリスク因子となるので,認知フレイル(cognitive frailty)としてA フレイルの評価法● 認知機能低下● うつ● 転倒● せん妄● 要介護加齢に伴う機能低下(予備能低下)によって健康障害(要介護,死亡)に対する脆弱性が増加している状態+ストレス(感染,低血糖 など)広義のフレイル狭義のフレイル( L.P. Fried ら)(体重減少,疲労感,歩行速度低下,筋力低下,活動性低下のうち3 項目以上あてはまる)● 身体活動低下● 低栄養● サルコペニア● 社会サポート低下● 種々の疾患や機能障害などの欠損の蓄積( K.Rockwoodら)手段的ADL 低下基本的ADL 低下 全介助 死死 亡亡 ● 入院● 施設入所図28 - 1 狭義と広義のフレイルの概念