ブックタイトルケースに学ぶ 高齢者糖尿病の診かた

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概要

ケースに学ぶ 高齢者糖尿病の診かた

21.認知症の運動療法はどんな効果がある?  1132合以内,喫煙はなし,睡眠障害もなかった. 初診時から5年間の経過を図21 - 1に示す.本症例は認知症の診断後もほぼ毎日(5~6日/週),歩行運動を行っていた. 本症例では,かかりつけ医が糖尿病の管理を,筆者らは認知症の管理を別々に行った.2年目から糖尿病治療薬はピオグリタゾンから,アログリプチン/ピオグリタゾン配合薬に変更された.5 年間を通して,HbA1c は6.0~7.0% でコントロールされ,BMI にも変化はなかった(図21 - 1 A). 認知症にはドネペジル,またはガランタミンを処方して経過を観察した.MMSE の成績は3 年目(2014 年)まではほぼ維持されており,4 年目(2015 年)から低下傾向にあった.認知症の行動・心理症状(BPSD)は,認知症行動傷害尺度dementia behavior disturbancescale(DBD スケール)にて評価したが,4 ~ 5 年目(2015 ~ 2016 年)にかけて急速に増悪した(図21 - 1 B).図には示していないが,頭部MRI で海馬萎縮の指標となるvoxel-basedspecific regional analysis for alzheimer’s disease( VSRAD) advance を用いた観察では,毎年,海馬萎縮が進行していた. ADL の変化を図21 - 1 Cに示した.認知症では,認知機能の低下に従い早期から手段的経過─治療とケア─HbA1c 〔%〕BMI 〔kg/m2〕BMI MMSEDBDスケール基本的ADLTUGテスト筋肉量手段的ADLHbA1c10864203025201510502012 2013 2014 2015 2016MMSE〔点〕DBDスケール〔点〕3025201510507060504030201002012 2013 2014 2015 2016基本的ADL〔点〕手段的ADL〔点〕1008060402005432102012 2013 2014 2015 2016TUGテスト〔秒〕筋肉量〔kg〕1412108642050403020102012 2013 2014 2015 2016 0(A)HbA1c,BMI(C)ADL (D)歩行機能,筋肉量(B)認知機能,BPSD年年年年図21 - 1 本症例における臨床経過MMSE:ミニメンタルステート検査,DBD スケール:認知症行動傷害尺度,TUG テスト:タイムアップアンドゴーテスト.