ブックタイトル肺動脈形成術PTPABPA実践ガイド
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肺動脈形成術PTPABPA実践ガイド
PTPABPA22PTPA は,CTEPH に対して有効な治療法であり,世界規模でのさらなる普及が期待される.しかしながら,PTPA が肺動脈疾患の全例に適応となるわけでは決してないことを十分に理解する必要がある.肺動脈造影にて肺動脈に病変があるからといって,PTPAを検討することは絶対に慎むべきである.特に本項に提示するような,肺動脈造影を一見したところCTEPH と見間違える可能性もある重要な鑑別疾患においては,PTPA の施行が禁忌である場合が多い.CTEPH であるという正しい診断を経たうえで,PTPA の適応を検討することが大前提であり,本項ではCTEPH の鑑別疾患として重要なものを列挙し,CTEPH としての正しい診断の一助となることを期待する.1 肺動脈以外の肺組織が要因となり,肺動脈の障害を合併する疾患肺動脈以外の肺組織が,肺動脈を巻き込んで障害をもたらし,肺動脈に狭窄病変や閉塞病変を合併する場合がある.陳旧性肺結核や間質性肺炎などが相当する.陳旧性肺結核に合併した肺動脈病変図1 は,陳旧性肺結核の症例であり,胸部X 線や胸部CT では,肺上葉の実質組織が陳旧性肺結核の影響を強く受けて障害されていることがわかる.本症例での肺動脈造影では,右上葉枝が完全閉塞となっている.肺実質の障害が肺動脈を巻き込んで障害されていると思われる.このような病変に対してのPTPA は致死的な転帰となることが予想され,絶対禁忌である.間質性肺炎に合併した肺動脈病変図2 は,間質性肺炎に合併した肺高血圧症の症例である.胸部X 線や胸部CT では間質性肺炎に特徴的な所見を認める.本症例の肺動脈造影では,右肺動脈は中葉枝や下葉枝の全体的な狭窄や硬化像を認め,特に右肺動脈下葉枝末梢部の造影はきわめて不良である.これら肺動脈以外の肺組織の障害を伴う疾患においては,肺換気血流シンチグラフィを施行しミスマッチを認めない場合には,血管以外の肺組織も障害されているためPTPAは原則禁忌と考えられる.肺換気血流シンチグラフィにてミスマッチを認める場合であっ4 CTEPHの鑑別疾患