ブックタイトル肺動脈形成術PTPABPA実践ガイド

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概要

肺動脈形成術PTPABPA実践ガイド

473 PTPA 中の手技手順 ─ 2. ガイディングカテーテルとガイドワイヤーの選択と操作通常は主肺動脈本幹から時計方向回転をかけて右肺動脈に誘導する場合,ガイディングカテーテル先端は右肺動脈前方に向かうため,そのまま進めるとA4 およびA5 にエンゲージすることが多い.また,ガイディングカテーテル先端が下葉枝まで到達している状態からA4 やA5 へのエンゲージを狙う場合には,カテーテルが前方に向くことが確認しやすいRAO 30°を基本角度とし,下葉枝から時計方向に回転をかけ前方に向けながら引いてくるとA4 もしくはA5 にエンゲージする.A4 へのエンゲージはガイディングカテーテルの先端方向に向けてロングシースを進めると,カテーテルの第一カーブがなくなることによって自動的にA4 方向へカテーテル先端が向きやすい.A5 へは逆にシースを引き戻すことによりカテーテル先端がA5 に向きやすい.カテーテルのエンゲージ後の造影ではcranial view をかけると,前下方に向かうA4 やA5 をより長く視認できる.右A7, A8, A9, A10ガイディングカテーテル先端を下葉枝領域まで誘導し,時計方向に回転させると先端は下肺前方A8 方向へ向かい,A8 より下方で時計方向に回転させるとA9 にエンゲージする.また,反時計方向に回転させると下肺後方A10 に向かう.Judkins 右型が最も操作しやすいが,下葉枝の中で最も内側に分枝するA7 の選択にはJudkins 左型を使用しないと届かないこともある.患者の個人差も大きいため,著者らの施設では3 章1 項(p. 96)で詳述の肺動脈3D 構築画像を確認しながら最適なworking view で位置関係を確認しながら操作している.左肺動脈区域枝の選択的造影左肺動脈は解剖学的に主肺動脈本幹から分かれた後,左気管支をまたいで下行する.いずれのカテーテルを使用しても,後方の分枝であるA6 に向かうが,特にJudkins 右型を使用した場合ではA6 に選択的に入ることが多いため,入り過ぎないように注意すべきである.A6 から下葉枝の方向にガイディングカテーテルを誘導してからの操作が必要である.図3 に左肺動脈区域枝のそれぞれの選択方法(イメージ像)を示す.左A1+2, A3下葉より反時計方向回転をかけながら引いてくるとA4+A5 を通過した後にA1, A2 方向に入る.A1, A2 に関してはJudkins 右型を使用した方が操作は容易である.A3 は大きく前方に向かうため,A4+A5 を選択した後にそのまま反時計方向回転をかけながらプルバックすればエンゲージ可能であるが,近位部から分枝する場合ではJudkins 右型ではエンゲージ困難な場合も多い.エンゲージ困難な場合は,ガイディングカテーテルの形状をJudkins 左型やmultipurpose 型に変更することも考慮する.しかし,特に左肺動脈上葉枝のエンゲージはガイディングカテーテルが右心系を通過した直後で,心拍による動きが