ブックタイトルエキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A
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エキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A
354.パーキンソン症候群との鑑別は?─(3)進行性経過から変性,臨床診断はパーキンソン症候群と考えられた.病歴上では,ドパミンアゴニストが有効であったが,多系統萎縮症multiple system atrophy(MSA)のredflag sign として,発症後3年以内の転倒傾向,発症後4年で車椅子使用,ピサ症候群Pisasyndrome と首下がり,発語理解が困難な程度の重篤な構音障害の4項目が当てはまり1),パーキンソン病以外の疾患の可能性を含めて精査が必要と判断した. 歩行困難などの運動障害が緩徐に進行しており,パーキンソン症候群が疑われる.症候からパーキンソン病以外の疾患の可能性も考えられ,鑑別診断と今後の方針の検討のため,入院加療をすすめる.検査所見ドパミントランスポーターシンチグラフィー:右側優位で取り込み低下がみられた(図4 - 1A).123 I-MIBG 心筋シンチグラフィー:取り込みは保たれていた(図4 - 1 B).頭部MRI:磁化率強調画像(SWI)では,被殻が右側優位に両側で萎縮し,被殻外側に低信号域が認められた(図4 - 2).入院後経過 症候からはパーキンソニズム優位の多系統萎縮症(MSA-P)が疑われた.ドパミントランスポーターシンチグラフィーの取り込み低下はパーキンソン症候群の診断と矛盾しない.123 I-MIBG 心筋シンチグラフィーの取り込みが保たれ,頭部MRI の磁化率強調画像で被殻の萎縮,被殻外側の低信号域を認め,いずれもMSA-P の診断を支持するものであった. 夜間SpO2 モニターで,無呼吸を示唆する所見は明らかでなかった.喉頭ファイバーでは咳嗽反射の低下がみられ,構音障害と嚥下障害を示す球症状を裏づけるものであったが,声帯外転麻痺は明らかではなかった.終夜睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG 検査)でも異常所見は認められなかった.患者および家族への●説●明図4 -1 ドパミントランスポーターシンチグラフィー(A)と123I-MIBG心筋シンチグラフィー(B)(A)両側被殻,右側優位で取り込み低下がみられた.左上肢の運動障害で発症したパーキンソン症候群の症候と矛盾しない所見である.(B)123 I-MIBG 心筋シンチグラフィーで取り込みが保たれており,多系統萎縮症として矛盾しない.R0123456(A)早期相後期相(B)