ブックタイトルエキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

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概要

エキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

415.レヴィ小体型認知症とアルツハイマー病との鑑別は?Alzheimer disease(AD)との鑑別を要する. 幻覚,認知機能障害,運動障害の原因としてレヴィ小体型認知症が最も疑われるが,他疾患と鑑別するため精査を行う.幻覚,認知機能障害,パーキンソニズムに対してはそれぞれ病状評価のうえ,必要に応じて薬剤調整を行う.検査所見頭部MRI:大脳のびまん性萎縮があり,海馬の萎縮,側脳室下角の拡大を認めた(図5 - 1).123 I-IMP 脳血流シンチグラフィー:両側後頭葉に血流低下を認めた.また両側前頭葉,側頭頭頂葉,楔前部,後部帯状回にも血流低下を認めた.123 I-MIBG 心筋シンチグラフィー:H/M 比(心縦隔比)early(早期相)2.57,delay(後期相)2.65,WR(washout ratio)33.8%.脳波検査:不規則全般性一過性徐波と,両側頭頂後頭部に持続性徐波を認めた.神経心理検査:MMSE(mini-mental state examination)19/30点,FAB(frontal assessmentbattery)8/18点,ADAS-cog(Alzheimer’s disease assessment scale-cognitive subscale)25.0/70点. 記憶障害と思われるエピソードより発症し,頭部MRI で海馬の萎縮が明瞭な点は,アルツハイマー病を示唆しているが,神経心理検査では,記憶障害,見当識障害以外には,遂行機能障害,注意障害が目立った.覚醒度の変容をともない変動する認知機能,具体的な内容の繰り返す幻視,病初期よりみられるパーキンソニズムは,レヴィ小体型認知症に特徴的な中核症状である.また,脳波の徐波化,自律神経障害,うつ症状のエピソードもレヴィ小体型認知症を支持していた.レヴィ小体型認知症の臨床診断基準改訂版(第3 回DLB 国際ワークショップ1))によると,「probable DLB(レヴィ小体型認知症のほぼ確実例)」に該当した.患者および家族への●説●明エキスパートはここを●診る図5 -1 頭部MRI(A)T1 強調画像.(B)FLAIR 画像(冠状断).びまん性大脳萎縮があり,また側脳室下角の拡大,海馬の萎縮を認めた.(A) (B)