ブックタイトルエキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

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概要

エキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

86Ⅲ パーキンソン病・パーキンソニズムの運動症状の治療1. パーキンソン病の初期治療は?57歳女性,右利き.主訴:右手足のふるえ.薬物治療を開始した未治療早期パーキンソン病(PD)の1 症例.現病歴 56歳ごろから右足のふるえを自覚するようになった.また同時期に,右足の膝窩のあたりの突っ張る感じを自覚した.他院を受診したところ,本態性振戦が疑われ,クロナゼパム,アロチノロールが処方されたが,症状は改善しなかった. 57歳時から右手と左足のふるえも出現し,とくに右方向に横に移動しようとすると転倒しそうになることがあった.これらの症状が現れたため,当科外来を紹介受診した.既往歴:特記事項なし.家族歴:母(89歳),アルツハイマー型認知症.生活歴:喫煙なし,飲酒なし,飲食店勤務.診察所見一般身体所見:身長158 cm,体重39 kg,BMI 15 . 6.神経学的所見:意識は清明で,失語・失行・失認は認めなかった.仮面様顔貌で,マイヤーソン(Myerson)徴候陽性であった.眼球運動は保たれ,その他の脳神経系には異常は認めなかった.寡動,右上肢と両下肢(右優位)の安静時振戦と歯車様固縮を認めた.指叩き試験と反復拮抗運動はいずれも右手で遅く,また振幅の低下を認めた.筋力,協調運動,腱反射は正常で,病的反射は認めなかった.また,感覚障害は認めなかった.歩行姿勢は軽度前かがみだが,歩幅は正常で,姿勢反射障害は認めなかった.Q 1 本症例の運動症状に対する治療薬選択に考慮すべきことは何か.a.将来の運動合併症のリスクb.自動車の運転の希望c.運動症状の重症度d.年齢e.認知機能障害(A1.すべて正解)case