ブックタイトル心不全診療について本気出して考えてみた

ページ
8/10

このページは 心不全診療について本気出して考えてみた の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

心不全診療について本気出して考えてみた

1199メンタルをサポートする 9メンタルをサポートする心不全とうつ 75 歳,男性.拡張型心筋症に対して標準的治療を行い,心不全はコントロールされていた.夜間の息苦しさを感じるようになり,外来を受診.レントゲン上,明らかなうっ血所見の悪化はみられなかったが,もともと150pg/mL 前後であった血清BNP 値が250pg/mL に上昇していたため,念のため入院.心不全治療の再確認,安静と利尿薬調節を行ったが,症状はいっこうによくならない. こういった症例に出会うことはありませんか.このような例に,傾聴と対話,あるいは少量の抗うつ薬や向精神薬の投与を行うと,自覚症状が改善することがあります.心不全とは…,循環動態の破綻だけではなく,新たな問題を随伴するものであることを教わります. この症例では,心不全症状とうつ症状が,似通った症状として現れたため,医療者はその見分けがつかず,悩むことになったわけです.実際,心不全が重症であればあるほど,多かれ少なかれこのような「うつ」が随伴するように感じます.循環器内科医だけではとても対処しきれません.「うつ」かどうかを判断するすべも,もちあわせていないのですから. さまざまなうつ評価法を用いて,心不全患者にどの程度「うつ」が合併するのかをみたメタ解析では,心不全のうつ合併率は21.5%にも上っていました.