ブックタイトルエキスパートが現場で明かす 心不全診療の極意

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エキスパートが現場で明かす 心不全診療の極意

11720.重症心不全患者に栄養療法は必要か?いる.そして,急性期における栄養療法のガイドラインは各学会や機関より報告されており,集中治療分野では日常診療に利用されている.図20 - 1 に沿って,急性心不全患者などに対する急性期栄養療法の介入方法について解説する.B 栄養状態の評価? 栄養療法のファーストステップは,入院時の栄養状態を評価することである.一般的な評価方法としては,主観的包括的栄養評価subjective global assessment(SGA),客観的栄養評価objective data assessment(ODA)などが用いられている.SGA は非常に簡便で使いやすい指標であるが,患者背景が把握できない場合などでは評価が困難となることも多い.ODA は検査所見などを用いて栄養状態を評価する方法であるが,検査所見は病状に合わせて複雑に変化するため,単純に評価できないことがある.実際にアルブミン値を例にあげると,敗血症性ショックの症例では低アルブミン血症を認めるが,これは全身の炎症反応の結果として起きている変化であり,入院前の低栄養を表したものではない.? また,ほかにも栄養アセスメントツールは報告されているが,いずれも急性期の病態において完璧な指標とはいえない.そのため,身体所見,血液検査,患者背景などから総合的に患者の栄養状態を評価することが重要である.C 栄養療法の計画? 栄養状態の評価ができれば,具体的な栄養投与の計画を立てる.「いつ」,「どこから」,「どれくらい」を基本として栄養投与プランを考える.このときに重要なことは,患者の病状把握と予想される経過を加味し,栄養投与の最終ゴールも見越して投与方法を考えることである.開始時期(いつ)? 腸管を使うことが可能であれば,できる限り早期に経腸栄養を開始すべきである.一般的には24 ~ 48 時間以内の開始が推奨されており,早期経腸栄養により腸管粘膜の維持,バクテリアルトランスロケーションbacterial translocation の回避が期待されている.? 経腸栄養が不可能な場合は,静脈栄養の適応となるが,その開始時期は急性期である必要はない.入院後1 週間は,経腸栄養が開始できない症例においても,積極的な静脈栄養を行う必要はなく,ビタミンや微量元素の補充のみを行えばよい.栄養投与方法(どこから)? 栄養投与の第一選択は腸管を使った栄養投与(経腸栄養)となる.もちろん経口摂取が可能であれば,通常どおり食事より開始する.人工呼吸管理などで経口摂取が不可能な状態であれば,経鼻胃管などを用いて経腸栄養を行う.?「 静脈栄養 vs. 経腸栄養」に関しては,集中治療領域で多数の報告があるが,経腸栄養が静脈栄養と比べて最終的な予後を改善させるとはいえないのが現状である.しかし,経腸栄養は,感染症の抑制,入院期間,医療費などで静脈栄養より優位性があるとされており,静脈経