ブックタイトルエキスパートが現場で明かす 心不全診療の極意
- ページ
- 9/10
このページは エキスパートが現場で明かす 心不全診療の極意 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは エキスパートが現場で明かす 心不全診療の極意 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
エキスパートが現場で明かす 心不全診療の極意
14925.無理をしてまで高齢者にβ遮断薬を入れるべきか?齢者においても本剤の有効性は若年・壮年患者のそれと遜色ないとのメタ解析2)がある.ただし,これら数少ない報告をもとに,その有効性を普遍化して考えてよいのか.たしかに,エビデンスレベル上では高い評価ではないかもしれない.しかし,それ以上に重要なのは,否定するものでもない事実である.心不全において,予後不良の病態でありながら管理ツールがきわめて限られる現状は,治療の選択肢を考えるうえで認識せねばならない.β遮断薬の副次作用? β遮断薬の副次作用に特化し,高齢患者と若年・壮年患者とを比較した報告は見いだせない.したがって,「高齢者には開始用量や増量間隔の決定に,より慎重さが求められる」との一般論,経験則しか述べられない.一方,高齢者心不全を対象としたCIBIS-ELD 試験3)によると,カルベジロールとビソプロロールの認容性には差がなかった.ただし,前者では肺機能と貧血,後者では徐脈という派生事象に違いがみられた.なお,高齢者に頻発する閉塞性肺疾患合併例では,β1 選択性遮断薬を使用したほうが無難である.また,腎機能障害はかならずしもβ遮断薬導入の禁忌とはならず,腎機能障害のない心不全患者と同等あるいはそれ以上の効果を期待できる4).β遮断薬導入の実際? β遮断薬は,およそ10年前まで心不全患者には禁忌であった.しかし,ガイドラインでは現在,クラスⅠとして推奨され,ほぼすべての収縮不全患者に投与すべき基本薬へと180度方向転換した.ただし,短期的に心機能を悪化させることには変わりがない.β遮断薬療法を成功させる最大のポイントは,いかに大過なく導入できるかである.いい換えれば,その認容性は現場の導入スキルに大きく依存する.それは,リスクを抱えた高齢者で,より顕著である.? β遮断薬を導入すると,ややうっ血状況に傾くため,筆者の施設では,利尿薬で体液コントロールをdry 気味に下ごしらえする.β遮断薬は少量からゆっくり増やすが,各増量の直前に身体が耐えられているかを適切な臨床指標を設定しながら確認する(図25 - 1).心不図25-1 心不全におけるβ遮断薬療法の系統立った導入プロトコル自覚症状,身体所見,体重,12 誘導心電図BNP,胸部X 線,心エコー図自覚症状,身体所見,体重,12 誘導心電図自覚症状,身体所見,体重,12 誘導心電図自覚症状,身体所見,体重,12 誘導心電図自覚症状,身体所見,体重,12 誘導心電図BNP,胸部X 線,心エコー図カルベジロール(アーチストR) 2.5mg 2×朝夕 5mg 2×朝夕 10mg 2×朝夕 20mg 2×朝夕ビソプロロール(メインテートR) 0.625mg 1×朝 1.25mg 1×朝 2.5mg 1×朝 5mg 1×朝*:NYHAⅡ度以下の場合,入院中3~5 日,外来時2 週, NYHAⅢ度以上の場合,入院中5~7 日,外来導入には留意.導入時検査増量観察期間*3~14日 3~14日 3~14日