ブックタイトル循環器診療のロジック
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循環器診療のロジック
来院直後に行うべき検査はどれか?1.緊急冠動脈造影(緊急CAG)2.緊急脳血管造影3.12 誘導心電図4.神経学的診察を含む全身の診察5.頭部X 線撮影 意識消失発作で救急搬送された症例であるが,救急隊現着時にはすでに意識は回復しており,明らかな麻痺もない.全身状態としては落ち着いており,まずは非侵襲的な検査を行い,診断をつけることが重要である.胸痛,心電図変化などの,急性冠症候群(ACS)を疑う明らかな所見はないことから,来院直後に冠動脈造影(CAG)を施行することはまずないといえよう.また,脳動脈瘤の既往があることから,脳卒中は鑑別として抑えておくべきであるが,神経学的診察や頭部CT といった検査の裏づけなしに緊急脳血管造影を行うことも通常はない. 意識消失発作を引き起こす疾患のうち,30%程度は原因不明であるが,器質的疾患としてQuestion 140. 神経調節性失神 281Category Ⅹ.失 神症 例 76歳女性主 訴意識消失発作現病歴 73歳時に左内頸動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した.術後経過観察中に病棟で数分程度の一過性の意識レベル低下を認めたが,その後改善し,神経学的な異常は認めなかった.頭部CT,MRI では脳神経学的な異常は指摘できず,経過観察となった.外来経過観察中に施行した12誘導心電図では,ウェンケバッハ型(Wenckebach 型)Ⅱ度房室ブロックを認めたこともあったが,意識消失発作などの症状は伴っていなかった. 76 歳時,夕食後に嘔吐,意識消失し,会話にも応答せず床に倒れこんだ.家族に発見され,当院へ救急搬送された.救急隊到着時には意識状態は清明であり,JCS(Japan Coma Scale)Ⅰ- 1,GCS(Glasgow Coma Scale)E 4 V 5 M 6であった.身体所見救急車内モニターでは洞調律,血圧117 / 52 mmHg,脈拍73 /分,体温37 . 1℃,SpO2 98%(room air)であった.心音は整で雑音は聴取せず,呼吸音は清でラ音はなかった.眼瞼結膜に貧血はなく,頸静脈怒張や下腿浮腫は認めなかった.また,四肢に明らかな麻痺は認めなかった.既往歴心疾患の既往歴なし.内服薬クロピドグレル 75 mg/日,アトルバスタチン 5 mg/日,アジルサルタン 20 mg/日.40. 神経調節性失神