ブックタイトルお母さんのアレルギー診療と子どもの発症予防

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概要

お母さんのアレルギー診療と子どもの発症予防

155IV 各論 アレルギー疾患の発症・予防家庭環境とアレルギー 家庭内のエンドトキシンが増加する因子は,ペットの存在と4 人以上の家族構成122),保育園などのデイケアセンターを利用していること123),生ゴミを家の中に保存していること124)が報告されている.そして,農場で生活する子どもと農場以外で生活している子どものベットルームのエンドトキシン量を比較すると前者が有意に多いことが明らかにされている125).これらの研究から,室外の環境から室内環境へ細菌の移動があることが証明されたことになる. 兄弟の数とアレルギー疾患の関係についても多く報告されている.すなわち,兄弟数とアトピー性皮膚炎atopic dermatitis(AD)の発症,皮膚テストの反応性,血清 IgE 値とは逆相関関係にあることが報告されている126).集団生活との関連性についても報告されている.ドイツからの報告では,5~14歳の子どもを対象に,1 歳未満で集団生活に入った群とそれ以降に入った群で花粉症と皮膚テスト陽性率において前者で有意に低かった127).米国からの2 つの出生コホート研究からは,集団保育への早期入園は小学校就学時の喘息罹患率を低下させることが報告された128,129). ペットの飼育とアレルギー疾患関連では,1 歳未満でペット,特に室内犬と生活を共にすることは,アレルゲン感作の抑制と部分的な喘息発症を抑えることが報告されている130,131).農耕環境とアレルギー 衛生仮説に関するこれまでの報告で,農業とアレルギー疾患を対象とした報告が最も多い.The Swiss Cross Sectional Study on Childhood Allergyand Respiratory Symptoms with Respect to Air Pollution,Climate and Pollen(SCARPOL)によるスイスからの報告では,親が農業に従事している小学生は,花粉症シーズンのくしゃみ発作,アレルゲン感作の頻度が有意に低かった.一方,喘鳴と蕁麻疹に関しては有意な差は認められなかった132).加えてパートタイム農耕労働者よりもフルタイムのほうがアレルゲン感作のリ