ブックタイトルお母さんのアレルギー診療と子どもの発症予防

ページ
4/12

このページは お母さんのアレルギー診療と子どもの発症予防 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

お母さんのアレルギー診療と子どもの発症予防

102 本項ではわが国と世界の母乳育児率の特徴,母乳栄養が及ぼす影響,そして母乳成分の特徴について解説を行っていく.わが国の母乳育児率の推移と世界の母乳育児率との比較 わが国の母乳育児率の推移を図13に示す1).1960年から1970年にかけて病院での出産と人工乳栄養が普及し,これにより1970 年の出生後1 ヵ月と3 ヵ月時に母乳のみで育てている割合が大きく低下した.その後,母乳栄養の利点が見直され,徐々に母乳のみで育てている割合は改善していった.2010 年の調査では,出生後3 ヵ月時に母乳のみで育てている人の割合は1970年の水準まで回復している. 世界的な母乳栄養の傾向として,12 ヵ月時点で母乳栄養を継続している人の割合を示したものを図 14 に示す2).12 ヵ月時点で母乳栄養を行っている母親の割合が高い国ほど,色が濃くなっている.灰色で示された地域はデータがない国である.サハラ砂漠以南のアフリカ,南アジア,ラテンアメリカが母乳栄養の比率が高く,一方で高所得国では低く,多くの国が20%未満となっている2).これはどの月齢においても同様の傾向を示している(図15)2).しかしわが国はほかの高所得国と異なり,母乳育児率が高いというまれな傾向を示している.厚生労働省が行った全国調査においても,96%の妊婦が母乳育児を希望していることから,母乳栄養の利点の理解が幅広く普及していることが理由と考えられる3).II 総論母乳栄養の位置づけC.子どものアレルギー疾患の予防(妊娠中から授乳・離乳期以降まで)