ブックタイトルお母さんのアレルギー診療と子どもの発症予防

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概要

お母さんのアレルギー診療と子どもの発症予防

136C.子どものアレルギー疾患の予防(妊娠中から授乳・離乳期以降まで)法の選択のみでアレルギー発症を予防することは不可能であり,生活環境の整備や日常のスキンケアなどの重要性を含めて,児の保護者に理解を促す必要がある.また低アレルゲンミルクは一般調製粉乳に比較して価格が高く,保護者の経済的負担も無視することはできない.費用対効果についても十分に検証する必要がある.3 離乳食の開始時期,進め方 妊娠・授乳中の母親と乳児の食事(哺乳および離乳食)は,アレルギー疾患の発症に対してさまざまな影響をもたらす37). アレルギー疾患の予防に関連して,「離乳食はいつから始めたらよいですか?」「遅らせたほうがいいでしょうか?」という質問は,一般診療や乳幼児検診における日常的な会話であろう.そして,「特別なことをする必要はありません」というのが,紋切り型で唯一の回答であることも間違いない. 近年,食物アレルギーの発症予防について,乳児期早期からの抗原除去ではなく,むしろ早期摂取が有効であるというエビデンスが蓄積しつつある.一方で,感作の成立した乳児が離乳食でアナフィラキシーを発症することも,日常しばしば遭遇する. 本項では,アレルギー疾患の発症と離乳食の関連について,その背景にあるエビデンスや問題点を考えてみたい.乳児期における感作の成立 鶏卵・牛乳・小麦といった食物アレルゲンへの感作(ここでは,特異的IgEが検出されること)は,いつ頃成立するのであろうか. 当科において2001 年11 月~2012 年10 月の11 年間に,生後6 ヵ月までに受診して特異的IgE(sIgE)抗体検査を行った全732 人の結果を,検査時月齢ごとに示す(図 28)38).対象者はアトピー性皮膚炎 atopic dermatiti(s AD)や即時型アレルギーを疑われて専門施設に紹介された患者であるため,検査