ブックタイトル日本の循環器診療 現場〈リアル〉への招待

ページ
7/10

このページは 日本の循環器診療 現場〈リアル〉への招待 の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

日本の循環器診療 現場〈リアル〉への招待

30.LVEF が改善する患者とは? 127IntroductionchArrhythmia CAD Heart FailureLVEF が改善する患者の特徴は? 急性,慢性にかかわらず,心不全治療に伴い早ければ数カ月で心機能が顕著に改善する例が存在します.そこで,どのような患者に治療による左室駆出率(LVEF)の改善効果が認められやすいのかを検討しました. 急性心不全で当院に初回入院した500 例のうち,入院時と1 年後に心臓超音波検査を施行した217 例を対象とし,入院時のLVEF が50%未満で,1 年後に50%以上に改善した患者を「改善群」,入院時も1 年後もLVEF が50%未満であった患者を「非改善群」として,その予後について解析しました.改善群は47 例,非改善群は94 例で,急性心不全で入院したHFrEF 症例の約3 割が1 年後にHFpEF へ移行していたことになります. 総死亡(図30-1),心不全関連イベント(心不全入院と心不全による死亡,図30-2)の発生率をみると,改善群では総死亡,心不全イベントが有意に少ないという結果でした.これより,入院時の1 回のみで測定したLVEF を用いて患者をHFrEF として一括するには限界があることがわかります. 患者背景や治療内容を比較すると,改善群と非改善群のあいだに,過去の心不全入院歴30 LVEFが改善する患者とは?0.40.60.50.70.80.91.00 1,000 2,000 3,000観察期間〔日〕χ2 4.75,P=0.029年齢,性別,eGFR,入院時log BNP で補正したハザード比0.15,P=0.034,000 5,000累積生存率LVEF改善群LVEF非改善群図30-1 LVEF 改善群,非改善群での累積生存率(Shinken Database)0.20.00.60.40.81.00 1,000 2,000 3,000観察期間〔日〕χ2 8.00,P=0.005年齢,性別,eGFR,入院時log BNP で補正したハザード比0.44,P=0.114,000 5,000心不全イベントなしの累積生存率LVEF改善群LVEF非改善群図30-2 LVEF 改善群,非改善群での心不全イベント回避累積生存率(Shinken Database)心不全イベントとは心不全入院と心不全による死亡を指す.