ブックタイトル日本の循環器診療 現場〈リアル〉への招待

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概要

日本の循環器診療 現場〈リアル〉への招待

150 Ⅳ.心不全に関する日本人の疑問IntroductionchArrhythmia CAD Heart Failure心不全の評価指標BNP 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は,その有用性から,心不全の診断および重症度の評価において確立した地位を築いています.しかし,その評価能力の検討は,洞調律患者における研究が主で,心房細動患者は調査の対象から除外されてきたという歴史があります.心房細動患者では,洞調律患者よりも血中BNP 濃度が高いことが知られ,その理由として,拡大した心房や細動による心房筋に対するメカニカルな刺激,組織の炎症が関与していると考えられています.このように,そもそもBNP 分泌が増加した心房細動患者では,BNP にどれほどの病態評価や予後指標としての意義があるのでしょう.BNP は心房細動合併心不全患者でも同様の予後推定因子なのか? Shinken Database に登録されたうち,症候限界性心肺運動負荷試験(CPET)と血漿BNP 濃度の測定がされた患者1,447 人を対象として,洞調律群(n = 1,151),心房細動群(n = 296)に分け,BNP と最大酸素摂取量(peak VO2)がそれぞれ心不全関連イベンBNP は心房細動合併心不全患者の36 評価にどれほど役立つ?低BNP,高peak VO2 群低BNP,低peak VO2 群高BNP,高peak VO2 群高BNP,低peak VO2 群(A)心房細動患者観察期間〔年〕心不全イベント回避累積生存率χ2 21.906,P<0.00010 2 4 6 8 10 121.00.80.60.40.20.0(B)洞調律患者観察期間〔年〕χ2 66.174,P<0.0001心不全イベント回避累積生存率0 2 4 6 8 101.00.80.60.40.20.0図36-1 BNP およびpeak VO2 で分けた心不全患者の生存率(Shinken Database)