ブックタイトル多職種カンファレンスで考える心不全緩和ケア
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多職種カンファレンスで考える心不全緩和ケア
第2 章 チームアプローチで行う心不全緩和ケア114患者に対する各職種のアプローチ患者マネジメントのポイント不安・恐怖の要素を細かく丁寧に分解し,多方面からアプローチする 本症例は,「透析中にICDが作動したことによって,透析室へ行けなくなった」ということが課題である.この場合,まずは「透析室へ行けなくなった」理由を突き止めなくてはならない.例えば,ICDが作動することに恐怖・不安を感じている場合は,医師や薬剤師と連携して不整脈治療とICDの設定変更などを協議する必要がある.他方,透析室で作動したことで「透析=ICD 作動」という認知が形成されてしまった場合は,認知行動療法などの心理療法を用いてこの認知を変えていく必要がある.医 師● ICDの機能について改めて説明し,ICDそのものへの不安感を軽減する.● ICDの設定を見直し,できる限り頻回作動を改善する.● 透析室は病院の中なので,急変時にはすぐに医師が駆けつけると伝える.看護師● 病室から透析室まで一緒に付き添って行く.● 透析室でのICD作動時の対応について説明する.● 透析前後日の摂食状況や睡眠状況などを確認する.● 不安を傾聴する.● 自己効力感の向上を図る.心理療法士● 恐怖感の原因を探す(透析室なのか,透析治療なのか,ICD 作動なのかなど).● 恐怖感の程度を評価する.● 恐怖感の原因に対して心理療法を実施する.● 多職種へ心理療法的介入の方法を伝達する.● PTSDや適応障害などの精神障害の有無について評価し,適宜精神科医へコンサルテーションする.薬剤師● 向精神薬による薬物療法(抗精神病薬,抗不安薬,睡眠薬など)を医師と検討する.● 抗不整脈薬による薬物療法を医師と再検討する.