ブックタイトル臨床神経内科学 改訂6版

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概要

臨床神経内科学 改訂6版

が, 基本的にGABAA 受容体を増強し,NMDA 受容体を阻害する.アルコールに関連する神経障害は,アルコールそのものの急性効果(毒性)によるもの,慢性アルコール中毒者にみられる慢性毒性と,栄養障害によるもの,アルコール離脱(禁断)症状として発現するものに大別される(表Ⅳ-18-1).ここではまず急性中毒を中心に述べ,離脱症候群,慢性アルコール中毒症についても触れる.急性アルコール中毒は,一気飲みなどで社会面を賑わすが,その緊急性が十分理解されていないきらいがある.アルコール関連障害は一般にアルコール使用障害とアルコール誘発性障害に分類されるが,ここでは主に神経内科関連の病態について述べる.急性毒性acute alcoholic intoxicationA1 急性アルコール性昏睡 (acute alcoholicintoxication) 一気飲みなどで,急速に血中濃度が上昇し,300 mg/dL では混迷状態,400 mg 以上では昏睡になり,生命の危険がある(表Ⅳ-18-2).病歴からアルコール摂取量を直ちに判断すると同時に,不整脈,血圧低下がないことなどを確認する.緊急にアルコール血中濃度を測定し,肝アルコール脱水素酵素アルデヒド脱水素酵素C2H5OH + NAD+Ethyl AlcoholCH3CHO + NADHAcetaldehydeCH3COOH + NADHAcetic AcidCoAAcetyl CoAvia TCA CycleCO2 + H2OCH3COOH + NADHAcetaldehyde図Ⅳ-18-1 エタノールの体内代謝経路表Ⅳ-18-1  アルコール急性毒性,離脱症候群とその他の関連疾患,メタノール中毒A エチルアルコール中毒(ethanol intoxication)1.急性中毒(acute intoxication) 1)病的酪酎(pathological intoxication) 2)一過性記憶喪失(alcoholic black out) 3)アルコール性昏睡(alcoholic coma)2.アルコール離脱症候群・禁断症候群(abstinenceor withdrawal syndrome) 1)振戦(alcoholic tremor) 2)幻覚(alcoholic hallucinosis) 3)離脱性痙撃(withdrawal seizures) 4)振戦せん妄状態(delirium tremens)3.栄養障害性神経疾患(nutrtional diseases of thenervous system secondary to alcoholism) 1)Wernicke-Korsakoff 症候群 2)多発性神経炎(polyneuropathy) 3)ぺラグラ(pellagra) 4) アルコール性小脳変性症(cerebellardegeneration) 5) タバコ・アルコール性欠乏性弱視(tobaccoalcoholamblyopia)4.中毒,あるいは機序が明らかでないアルコール関連神経疾患(diseases of uncertain pathogenesisassociated with alcoholism) 1) アルコール性認知症(アルコール性大脳菱縮症)(alcoholic dementia/cerebral atrophy) 2) Marchiafava-Bignami 病(脳梁の脱髄によるもの) 3) 橋中心髄鞘崩壊症(central pontine myelinolysis) 4)アルコール性ミオパチー(alcoholic myopathy) 5)肝性脳症(hepatic encephalopathy) 6) 胎児性アルコール症候群(fetal alcoholicsyndrome)B メチルアルコール中毒(methanol intoxication)Section Ⅳ 神経疾患 各論620