ブックタイトルベッドサイドの神経の診かた 改訂18版
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ベッドサイドの神経の診かた 改訂18版
③ 運動機能の診かた 613塞,すなわちラクナ状態(? p.373)があるために起こるとされている.8. 跛 行 Limping 片足が短いとき,変形しているとき,または疼痛があるときに,そちら側の足を引きずって歩く.9. 奇怪歩行 Grotesque Gait 舞踏病やアテトーゼなどの不随意運動があると,グロテスクな歩行をする.10. ヒステリー性歩行 Hysterical Gait ヒステリーではいろいろな異常歩行を示す.すなわち奇妙な誇張された歩きかたをするが,一定ではなく変化する.また理屈に合わない現象を示す.たとえば全然立つこともできない(これを失立,起立不能「症」astasia という),歩くこともできない(これを失歩,歩行不能「症」abasia という)がベッドの中では四肢を完全に動かすことができる.他人の前では倒れそうにして歩くが,倒れて傷つくことはない,などである.11. 間欠性跛行 Intermittent Claudication 歩行を続けると,腓腹筋の痛みと疲労感が強くなり,足をひきずるようになり,歩行を休まざるをえなくなる.休息すると再び歩行が可能となる.いわゆるexercise-pain-rest-relief のサイクルをくり返す.a. 下肢血管性間欠性跛行 Intermittent Claudication of Peripheral Artery 下肢動脈の慢性閉塞性病変,たとえば動脈硬化症,バージャー病Buerger disease(閉塞性血栓血管炎)で起こる.この場合には下肢の動脈拍動は減弱または消失しているが,神経学的な異常はない.単に間欠性跛行という場合は下肢血管性〔シャルコー症候群Charcot syndrome〕を指すことが多い.b. 脊髄性間欠性跛行 Spinal Intermittent Claudication 一過性脊髄虚血で本症を起こすのを脊髄性間欠性跛行またはDejerine 型間欠性跛行とよぶ.下部胸髄・腰髄すなわち腰膨大部の血流不全によって起こる.このような血流不全の原因は脊髄動脈硬化症,梅毒性脊髄動脈炎,大動脈病変,脊髄動静脈奇形,椎間板ヘルニア,脊柱管狭窄などである.脊髄性間欠性跛行は一側性のことも,両側性のこともある. 歩行が困難になった状態で診察すると,下肢の筋力は低下し,痙直を呈し,腱反射は亢進し,足間代を伴い,バビンスキー徴候が認められる.しかし感覚は正常で,足背動脈の拍動はよく触れる.休息すれば,上述の神経症候は消失する2).c. 馬尾性間欠性跛行 Intermittent Claudication of Cauda Equina 腰部脊柱管狭窄があるときに,起立や歩行で直立姿勢を保つと狭窄がさらに強くなり,馬尾が