ブックタイトル非がん性呼吸器疾患の緩和ケア

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概要

非がん性呼吸器疾患の緩和ケア

  105A.終末期の包括的呼吸リハビリテーション感染症による急性期や分泌物の貯留が多いとき,上下気道と肺区野に貯留する分泌物の排出は,呼吸管理上重要な課題であり,肺炎の予防,肺機能の維持にも重要である.また気管支拡張症などのような気道分泌物が多い疾患の場合は,一日中喀痰に悩まされ行動が障害されるだけでなく,睡眠障害も起こすことがあるため,排痰の時間を決め,その時間に集中的に喀痰することができれば,他の時間は喀痰に悩まずに有効に使うことができる.a. 排痰ケアの流れ排痰法にはさまざまな手技があるが,それぞれの選択基準は排出障害の機序,貯留分泌物の性状と量,貯留部位,介助の必要度などに依存する 1).排痰ケアの基本的な考え方は,①痰が貯留している部位を確認し,②体位をとり(体位排痰法),③痰を中枢気道,声門の下まで移動させるためにさまざまな方法を行い,④ハフィング,咳で痰を口腔まで移動するという流れになる(図4-A-13).b. 前準備と痰の貯留部位の確認気道分泌物(痰)の移動は,重力,換気量,痰の粘稠性,繊毛運動に影響される.薬物療法は痰の粘稠性や繊毛運動に関与するため,必要があれば気管支拡張薬などの薬物療法も検討し,気道分泌物を出しやすくするために排痰前のネブライザーによる加湿や,水分摂取量も確認する.また気管支拡張症などの気道分泌物が多い疾患は,痰が出やすい時間を喀痰時間チェック表に記入してもらい(図4-A-14),痰が出やすい時間帯に排痰を実施するようにする.前準備 ・ネブライザーでの加湿・痰が出やすい時間帯を考えて行う・水分摂取量の確認痰を中枢部位,声門の下まで移動させる・深呼吸・振動呼気陽圧療法(フラッター,アカペラなど)の利用 治療者で行うもの・呼吸介助手技・軽打法,振動法痰の貯留部位の確認 ・聴診所見・触診痰がある部位を上にした体位をとる(体位排痰法)強制呼出手技(ハフィング),咳嗽で排痰*難しければそれに近い体位をとる*咳が弱ければ咳嗽介助*頸部の気道を徒手的に刺激し咳を誘発*うがい→最終的に無理なら吸引図4-A-13 排痰ケアの流れ