ブックタイトルガイドライン準拠 C型肝炎治療Q&A

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概要

ガイドライン準拠 C型肝炎治療Q&A

Q2.HCVキャリアと判明した患者への対応 5の慢性疾患を抱えながら日常生活を元気に送っている患者もいれば,癌やその他の悪性疾患が発見された患者,あるいは命にかかわるような急性疾患を発症し,同時にたまたまC 型肝炎が発見された患者もいるでしょう.高齢で介護施設などへの入所が決まっており,その際の健診でHCV 感染を指摘される方もいます.■1 C 型肝炎治療の目的と原疾患の治療? C 型肝炎の治療のために肝臓専門医へ紹介する前に,まず,C 型肝炎の治療の目的は「将来」における慢性肝疾患の発症の予防であることをふまえるべきです.さらに,「現在」における原疾患の状態・予後をよくよく勘案する必要があります(図2 - 1).端的にいえば,生命予後を大きく規定するような悪性疾患,急性疾患がなく,現在の健康が大きく損なわれずに日常生活を元気に送っている患者であれば,将来において慢性肝疾患を発症し,生命予後が悪化することを防止するために抗ウイルス治療を行うことが強く勧められます.? 一方,悪性腫瘍,重篤な慢性疾患,日常生活動作 activities of daily living(ADL)の著しい低下など,現在の病状が不良で,予後が必ずしもよくないことが予想される場合には,抗ウイルス治療を行って将来の慢性肝疾患の発症を予防する意義はあまりないと考えられるので,C 型肝炎はひとまず脇において,原疾患の治療・療養に専念してもらうことが望ましいです.■2 C 型肝炎の治療適応の考え方? 日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会による「C 型肝炎治療ガイドライン(第5版)」では,「C 型肝炎治療の目標は,HCV 持続感染によって惹起される慢性肝疾患の長期予後の改善,即ち,肝発癌ならびに肝疾患関連死を抑止することにある.この治療目標を達成するため抗ウイルス療法を行い,HCV の排除を目指す.」と治療目的を掲げる一方で,「肝病変以外の合併疾患による予後が不良である場合は治療対象としない.」と記載されて現在における原疾患の状態および予後将来における慢性肝疾患の発症リスク図2-1 C型肝炎の治療適応決定の際に考慮すべき点