ブックタイトルジョーシキ!腎生検電顕ATLAS

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概要

ジョーシキ!腎生検電顕ATLAS

711 菲薄基底膜病菲薄基底膜病変が全節性にみられた場合,いわゆる菲薄基底膜病thin basement membrane disease(TBMD)と呼ばれ,臨床的な家族性良性血尿familial benign hematuria に対応する.特別な治療をしなくとも予後のよい疾患であるが,数%の症例で予後不良であることが報告されている 1, 2).糸球体基底膜glomerular basement membrane(GBM)の緻密層lamina densa が菲薄化していると判断される上限界の基準は成人の場合200 nm とされ,それ以下の場合,菲薄基底膜病変とみなされる(図1-1).しかし,20歳までは年齢に応じて正常でも種々の段階で糸球体毛細血管基底膜の菲薄化が観察され,基底膜が同年齢のものと比較することで菲薄であるかどうかが判断される 3).1 顕微鏡的血尿関連症候群顕微鏡的血尿は,菲薄基底膜病やアルポート症候群などの先天性疾患で起こるが,後天的にもIgA 腎症など糸球体毛細血管炎を伴う糸球体腎炎でも起こる.前者の診断には電顕的検索は必須である.図1-1 菲薄基底膜病の電顕像全節性に基底膜の緻密層lamina densaが菲薄化し,その厚さは200 nm以下である.通常,足細胞脚突起の消失はない.糸球体基底膜の緻密層の菲薄化と相対的に外透明層と内透明層が目立つ(×3, 000).