ブックタイトル実践!ケースで学ぶ栄養管理・食事指導エキスパートガイド
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実践!ケースで学ぶ栄養管理・食事指導エキスパートガイド
4.糖尿病23疾 患 別泌障害とインスリン抵抗性がさまざまな割合で関与する,不均一で多様な疾患群です.主たる特徴である慢性高血糖に至る機序を十分に読み解けるかが治療の成否に大きく影響します.発症年齢,発症様式,家族歴,生活習慣,膵島関連自己抗体の有無などで糖尿病の「成因」を判断し,体重変化,血糖値,血中インスリン値,血中・尿中C ペプチド値およびケトン体などから「病態」を判断します.ヒト体内では血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの膵臓からの分泌能が保たれていても,末梢組織での糖利用が滞って高血糖となる場合(インスリン抵抗性)や,インスリン分泌自体が低下し高血糖を来す場合(インスリン分泌障害)があります(巻末 図1). 上記理由で高血糖状態が長く続くと,細小血管および大血管が傷害され,糖尿病に特徴的な合併症(神経障害,網膜症,腎症および虚血性心疾患,脳梗塞,足病変など)が引き起こされます(図4 - 1).糖尿病自体の病態把握と同様に,合併症の状態把握も,治療に際してきわめて重要となります.合併症の状態により,食事療法,運動療法にも制約が生じることがあります(p. 46,表8 - 1).図4-1 糖尿病合併症動脈硬化症脳血管障害 冠動脈疾患閉塞性動脈硬化症脳(脳血管障害)・脳梗塞・脳出血心臓(冠動脈疾患)・狭心症・心筋梗塞足(足病変)・閉塞性動脈硬化症・足潰瘍(神経障害も一因となる)・足壊疽(神経障害も一因となる)三大合併症網膜症 腎症 神経障害眼・網膜症・黄斑症・その他(白内障,緑内障)腎臓・腎症神経・末梢神経障害・自律神経障害・単神経障害・筋萎縮糖尿病の成因,病態および合併症を把握する肥満,高血圧など病態形成に関与する因子を把握・評価する食事療法の遵守程度を評価する家庭での食環境・内容をチェックする合併症管理をふまえた食事療法・運動療法の指導を実践する本症例のPoint!