ブックタイトル放射化学放射線化学 改訂5版

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概要

放射化学放射線化学 改訂5版

F. 放射線の測定法と線量測定法  97D. 中性子と物質との相互作用 中性子は電荷をもたないので電場効果による電子や原子核との直接の相互作用はない.しかし,中性子は磁気モーメントを有するので,物質の磁気的性質を研究するための中性子回折に使われる.相互作用の一つは原子核との衝突であり,直接にはイオン化も生じない.また中性子は粒子のサイズが小さいので衝突の確率も小さくなり荷電粒子よりも深く貫通する.中性子を最もよく減速するのは水素原子との衝突である. 弾性衝突は1 MeV 以上のエネルギーを有する中性子に対して重要である.中性子のエネルギーが数百keV 程度になると非弾性衝突が起こり,核の励起もみられるようになる((n,n)反応).中性子が核反応のしきいエネルギー以上をもっていると,(n,p)反応も起こることがある.また中性子が熱エネルギ一(約0.025 eV)程度の運動エネルギーを有するときには熱中性子という.そのエネルギー分布はMaxwell の速度分布をもつ.中性子捕獲反応(n,γ)反応が起こり,115In や109Ag ではこの核反応断面積が大きい.中性子の平均寿命は約15分で,β-壊変して陽子に変わる.E. チェレンコフ効果 チェレンコフ輻射は,光速に近い荷電粒子が光の屈折率n が1 より大きい物質を通過するときに出る光のことである.ちなみに屈折率1.33 の水中での60Coのチェレンコフ光は青色である.物質中を伝わる光の速度はc/n であるから,チェレンコフ放射を起こす荷電粒子の速度は,v≧c/n でなければならない.この関係式より,この現象にはしきいエネルギーが存在する.図4?10 で,c を光速,n を屈折率,v を電子の速度とすると,荷電粒子がP1からP2に移動する時間と光がP1Q1に進む時間が等しければ,光の位相は重なるから,cosθ=c/nvとなり,θの方向へ強い光が出る.これがチェレンコフ光である.F. 放射線の測定法と線量測定法 放射線測定と一口にいっても測定される粒子にはα,β,γ,中性子線とあり,