ブックタイトル放射化学放射線化学 改訂5版
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放射化学放射線化学 改訂5版
C.気体の放射線化学反応 121は励起曲線に最小値をもたないほかの励起曲線が交差している場合には,分子は解離して2 つのフリーラジカルを生じる. その他にA 分子の励起ポテンシャルが,B 分子の励起ポテンシャルに等しいか,それよりわずかに大きい場合にはA*+B A+B*(EA*≧EB*)のような励起エネルギーの移動が可能になる.これを無発光エネルギー移動という.C. 気体の放射線化学反応 気体は密度が小さくLET 効果が小さいので,古くから数多くの実験的研究が行われている.溶液系では放射線化学反応の収率を表すG 値が用いられるのに対し,気体の場合はM/N 比がよく用いられる.これは生成した分子数M と,生成したイオン対の数N の比である.イオン対収率とよばれ,イオン1 組当たりの変化分子数を意味する.G 値とはG=(M/N)×(100/W)の関係がある.気体中に1 個のイオン対をつくるのに要するエネルギーをW eV とすれば,W値は30 eV 程度なのでG≒3M/N で近似できる. 気体中でイオン対を生成するのに必要な平均エネルギーは,表5?1 に示すようにイオン化ポテンシャルより常に大きく,かなりのエネルギーが励起のために用いられていることがわかる. この平均エネルギー値は,ほんのわずかな不純物によって影響を受ける.たとえばHe にAr を0.13%添加すると,33.0 eV から42.7 eV になることが報告されている.これは主成分ガスが準安定な励起状態となり,それが不純物ガスに移行し,より低いイオン化ポテンシャルをもつ不純物の電離を引き起こすためである.たとえばHe にAr の不純物が混入している場合の反応は次のように表される.He*+Ar He+Ar*Ar*→Ar++e→1 イオン対生成に必要なエネルギー→