ブックタイトル子どもの風邪
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子どもの風邪
1294 名医が子どもを苦しめる 刺激的なタイトルですが,日本の医療の行きすぎた専門医志向とプライマリ・ケアの軽視が,子どもの風邪診療にさまざまな悪影響を与えています.なぜそうなってしまうのか,ここで考察したいと思います.A リスク過剰社会 まず,現在がリスク過剰社会になっていることを理解する必要があります.日本は,いうまでもなく資本主義社会ですが,その最大の特徴は“労働力が商品化”されることです.現代に生きるわたしたちは,それを当たり前と考えていますが,実際は,資本主義の常識にどっぷり浸かっているのは,ほんの3~4世代前くらいからでしょう. 労働力が商品ということは,自由競争にさらされるということです.だから,誰でもなれる職業は時給が安く,専門家しかできない仕事は時給が高いのです.単純な給与の問題だけでなく,労働者は自分の労働の社会的価値を高めようと努力するでしょう.それが労働のモチベーションにつながり,社会全体を豊かにしてきたのは間違いありません.自由競争は資本主義社会の最大のメリットといえるでしょう. その一方,現代の多くの労働は,リスク管理という側面をもっていることに注意が必要です.とりわけ,ヘルスケアにかかわる仕事ではそうでしょう.ヘルスケアを仕事にする労働者は,自らの労働の価値を高めるために,知らず知らずのうちにリスクを過剰に指摘してしまいがちです.わたしたち医療者名医が子どもを苦しめる4 Ⅳ 風邪とリスクマネジメント