ブックタイトル実践力UP!NCPR(新生児蘇生法) 37のポイント
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実践力UP!NCPR(新生児蘇生法) 37のポイント
61症例1 症例2 症例3 症例4 症例5 症例6 症例7 症例8 症例9Point ● こだわりのシナリオ実習の実際私のこだわりを一言で表現すれば「現場と同じように」提示する,ということに尽きます.1.シナリオ中,質問はしません・「吸引カテーテルの太さは何Fr ですか?」,「人工呼吸のスピードはどのくらいが適切ですか?」といった質問は,シナリオ中には極力しないようにしています.その理由は,時間の流れを妨げてしまい,緊張感がなくなってしまうからです.・「細すぎるカテーテルを使用した」,「人工呼吸が遅すぎた」という誤りは,シナリオ終了後のデブリーフィングにおいてディスカッションするようにします.シナリオの様子を動画撮影できれば,参加者自らの気付きを引き出しやすいかもしれません.・ただし参加者が緊張のあまりフリーズしてしまった場合は,初めは蘇生を成功に導いてくれる「神の声」を流します.まずは失敗しても誰にも迷惑をかけない,安全な実習であることを再確認してリラックスしてもらいましょう.次に例えばアルゴリズムを指差しながら,「初期処置を終えて,赤ちゃんは呼吸をしていない.心拍数も毎分70 回… ということは…?」と人工呼吸開始を促します.学びの段階によっては,手取り足取りのインストラクションも必要かもしれません.でもこれで終わってしまったら… その方は本番でもフリーズしてしまうかもしれません.赤ちゃんに適切に蘇生ができることを目指すならば,緊張感の中でも自信をもって評価・行動できるようになるまで,同様のシナリオを何度でも繰り返すことが必要ではないかと考えています.2.意識しなくても得られる情報は,先に伝えます・「呼吸をしていますか?」,「皮膚色はどうですか?」という,現実には起こり得ない対話は省略したいと考えています.「呼吸をしていない」,「著しい陥没呼吸と呻吟をしている」,「筋緊張が低下している」,「中心性チアノーゼがある」など,その場にいる誰もが特に意識しなくても得られる情報は,質問をされる前にこちら側から伝えるようにしています.3.処置は声に出すだけでなく,実演してもらいます・バッグ・マスク換気や胸骨圧迫はもちろん,鼻口腔の吸引や酸素投与,呼吸の刺激は,声に出すだけでなく,実際の赤ちゃんに行うように実演してもらいます.このことは,演習におけるルールとして初めに説明をしておきます.吸引の順番や深さ,時間,そして酸素投与や刺激の方法など,手技に誤りがないかどうかを観察します.4.1 つのシナリオにおける目標は,1 つか2 つに絞ります・1 つのシナリオにおいて,伝えるべきメッセージや到達目標は1 つか2 つに絞ります.あまり多くの情報を与えてしまうと,結局何も記憶に残らない恐れがあるからです.・例えば「遅れることなく人工呼吸を開始する」ということがそのシナリオの目標と設定した場合,初期処置における細かな誤りにはこだわりません.その代わり,人工呼吸が必要なバイタルサインであると認識できた時間と,人形に対して行うバッグ・マスク換気の手技は集中して観察します.バッグ・マスク換気の手技が不十分(例えば人形の胸がまったく上がっていない)と判断すれば,バイタルサインは改善させません.