ブックタイトル小児科医が知っておきたい!夜尿症のみかた

ページ
2/10

このページは 小児科医が知っておきたい!夜尿症のみかた の電子ブックに掲載されている2ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

小児科医が知っておきたい!夜尿症のみかた

1 定義と疫学夜尿とは,(夜間)睡眠中に不随意に尿を漏らす現象であるが,どの程度の夜尿を医学的に夜尿症と定義するかという点については,国や研究者によってさまざまであった.しかし最近,ICCS(国際小児禁制学会International Children’s Continence Society)によって「5 歳以降で1 ヵ月に1 回以上の夜尿が3 ヵ月以上続くもの」と定義された 1).また排尿に関する症状,症候を表す用語もICCS によって整理された 2).夜尿症の有病率は就学前の5?6 歳で約20%,小学校低学年で約10%,10 歳を超えても5%前後にみられ,中学生になると1?3%まで減少するが,成人になっても夜尿の残存する例がまれながらある 3).また性差は約2:1 で男児に多い.したがって有病率の高い夜尿症を診察する機会は多いが,直接生命に危急の及ぶ疾患ではないため,安易に「経過観察」あるいは「自然治癒」といった言葉を口にしがちである.しかし夜尿症の子どもとその親は日々の生活の中で悩み傷ついて受診していることが多いため,夜尿症の診療にあたっては本人と親の疑問や不安を夜尿,夜尿症夜間睡眠中の間欠的な尿失禁で,夜間遺尿(nocturnalincontinence)と同義語.昼間の尿失禁の有無やLUTS(下部尿路症状p.4 参照)の有無は問わない.ICCS(国際小児禁制学会)子どもの夜尿,遺尿,遺糞,便秘など,排尿や排便の異常に関する病態や病因,治療法などを研究する世界最大の学術団体である.2016 年の年次集会は初めてわが国(京都)で筆者と滋賀医科大学泌尿器科教授の河内明宏先生が会頭となって主催した.A 夜尿症の基本概念夜尿は,(夜間)睡眠中に不随意に尿を漏らす現象で,5 歳以降で1 ヵ月に1 回以上の夜尿が3 ヵ月以上続く場合には“夜尿症”とされる.有病率は5?6 歳で約20%,小学校低学年で約10%,10 歳を超えても5%前後にみられ,中学生になると1?3%まで減少するが,成人になっても残存する例がまれながらある.夜尿の存在は,肉体的にも精神的にも子どものQOL(生活の質 quality oflife)を低下させるため,積極的に治療する.積極的な治療で治癒率を高め,治癒までの期間も短縮できる.2 知っておきたい夜尿症の基本 ?概念,診察,治療?