ブックタイトル小児科医が知っておきたい!夜尿症のみかた

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概要

小児科医が知っておきたい!夜尿症のみかた

受け止めることが基本である.その上で,夜尿症の病因を理論的に説明し,具体的な対処法を示し,治癒までの見通しを示すことが重要である.診療にあたってはICCS のガイドライン 4)や日本夜尿症学会が発刊した診療ガイドラインを参考にするとよい 5).2 病態と病因夜尿の有無は,夜間睡眠中の尿意による覚醒があるか否か,および覚醒のない場合には夜間尿量と膀胱蓄尿量のバランスが適切か否か,で決定される(図1-1).すなわち覚醒閾値が高くても(覚醒障害),夜間尿量と膀胱蓄尿量のバランスが適切(夜間尿量<膀胱蓄尿量)であれば夜尿は起こらないし(図1-1 の“A”),夜間尿量が多くても(夜間多尿)覚醒閾値が低ければ覚醒してトイレで排尿する(夜間頻尿)ので夜尿には至らない(図1-1 の“E”).また膀胱蓄尿量が過少でも夜間尿量がそれ以下(夜間尿量<膀胱蓄尿量)であれば夜尿はみられない(図1-1 の“F”).さらに夜間多尿と膀胱蓄尿量過少で,夜間尿量と膀胱蓄尿量のバランスが不適切であっても(夜間尿量>膀胱蓄尿量),覚醒してトイレで排尿できれば夜尿には至らない(図1-1 の“G”).実際,子どもでも約10%は夜間に覚醒排尿がみられる.このような理論に基づいて,夜尿症の病因は「覚醒障害を基盤として,夜間多尿や排尿筋過活動(排尿抑制反射の欠如)による膀胱蓄尿量過少が加わって起こる(図1-1 の“B”,“C”,“D”)」と考えられ夜間多尿夜間の尿量が期待膀胱容量( p.43, 63 参照)の130%を上回るもの.夜間頻尿5 歳以降の子どもで夜間,尿意で覚醒するもの.排尿抑制反射の未熟による夜間の膀胱蓄尿量過少夜尿症(B, C, D)抗利尿ホルモン分泌不足などによる夜間多尿自律神経機能異常などに起因する覚醒障害ADE G FB C図1-1 夜尿症の病態と病因A 夜尿症の基本概念 3