ブックタイトル小児科医が知っておきたい!夜尿症のみかた

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概要

小児科医が知っておきたい!夜尿症のみかた

? 子どもの夜尿症の治療は,生活指導を含む行動療法,積極治療,およびその他の治療に分けられる.? 小学校入学前の患者は自然治癒率が高いことから積極治療は行わず行動療法にとどめる.? すべての患者に対してまずは行動療法を行い,効果がなければ積極治療を併用する.? 治療前後で夜尿回数(日数)が半減することをもって効果ありと判定する.? 生活指導としては,夕方以降の塩分・水分の摂取制限,早寝早起き,就眠前の完全排尿,睡眠中の寒さや冷え対策が,またその他の行動療法としては排尿訓練や便秘対策があげられる.? 積極治療の第一選択は抗利尿ホルモン療法と夜尿アラーム療法である.どちらを行うかは患者と親の意向を尊重する.学校の宿泊行事での夜尿が心配で直前に受診した患者では,速効性のある抗利尿ホルモン療法が,1 週間に3 回以上夜尿があり急がない場合には夜尿アラーム療法が良い適応となる.? 積極治療でも効果がなければ,それらを併用し,それでも改善しない場合には専門家への紹介を考慮する.? わが国で夜尿症の保険適用を受けた抗利尿ホルモン療法の薬剤として点鼻薬(デスモプレシン・スプレー10 協和 R)と口腔内崩壊錠(ミニリンメルト R OD 錠)がある.? 抗コリン薬は,非単一症候性夜尿症患者の昼間尿失禁の治療や抗利尿ホルモン療法や夜尿アラーム療法が無効の治療抵抗性の夜尿で選択肢の一つとなる.わが国ではプロピベリン(バップフォー R),オキシブチニン(ポラキス R)などが用いられる.? 三環系抗うつ薬も夜尿アラーム療法や抗利尿ホルモン療法に抵抗性の患者で投与を考慮するが,致死的不整脈などの重篤な副作用報告があるため夜尿症の治療を専門にしている医師による投薬が望ましい.わが国ではクロミプラミン(アナフラニール R),イミプラミン(トフラニール R)とアミトリプチリン(トリプタノール R)が用いられる.? 夜尿アラーム療法は,夜間睡眠中に排尿が起こると尿の水分をアラームセンサーが感知して警報音や身体への振動刺激により夜尿症の患者を覚醒させる治療法で,治癒率は約70%,再発率は15%程度である.PointC 夜尿症の治療 49