ブックタイトルガイドライン2015準拠 新生児蘇生法NCPR

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概要

ガイドライン2015準拠 新生児蘇生法NCPR

46Point ●? 心電図があれば,人工呼吸の必要性・有効性の判断が容易です心拍数は蘇生の必要性や有効性を示す最も重要なバイタルサインです.適切な蘇生を施しても心拍数が十分でなければ,初期処置→人工呼吸→胸骨圧迫とステップを進める必要がありますし,心拍数が上昇傾向であれば蘇生の成功を確信することができます.症例2では介助者が人工呼吸の有効性を評価する方法を紹介しましたが,心電図がその役割を果たしてくれるのです.2015年の新生児蘇生ガイドラインでは,「蘇生を必要とする児において,迅速かつ正確な心拍測定のためにECGモニターを使用してもよい」という「提案(弱い推奨)」が追加されました.これは蘇生を必要とする児を対象とした複数の観察研究から,聴診やパルスオキシメータと比較して,心電図モニターのほうが迅速かつ正確な心拍測定が可能になることが示されたからです.2015 年ガイドラインココに注目! ?論文紹介 2 4,25─ 心電図ならば,出生後30秒あまりで心拍数を表示しますよ.・Mizumoto H, et al.:Electrocardiogram shows reliable heart rates much earlier than pulse oximetryduring neonatal resuscitation. Pediatr Int, 54:205-207, 2012.要旨  3名以上が蘇生に立ち会うハイリスク分娩において,出生後速やかに赤ちゃんにパルスオキシメータと3誘導心電図を装着しました.モニター画面を録画し,後に信頼できる心拍数を表示するまでの時間を記録しました.対象は20例(平均在胎36.1週,出生体重2,338 g)で,極低出生体重児が3例,人工呼吸以上の蘇生を要した症例が5例含まれました.出生から信頼できる心拍数を表示するまでの時間は,心電図は中央値38秒であったのに対して,パルスオキシメータは122秒でした.・Katheria A, et al.:Electrocardiogram provides a continuous heart rate faster than oximetry duringneonatal resuscitation. Pediatrics, 130:e1177-1181, 2012 .要旨  極低出生体重児30例を含む46例に対して,出生直後にパルスオキシメータと心電図を装着しました.心拍数を表示するまでの時間は,極低出生体重児ではパルスオキシメータ62秒に対して心電図は28秒,出生体重1,500 g以上の児ではパルスオキシメータ68秒に対して心電図は24秒でした.心電図が,装着後すぐに心拍数を表示することは当たり前のように思います.新生児蘇生において,どうして今まで使用されてこなかったのか不思議なくらいでした.その理由として「出生後の濡れた体表面にはうまく貼り付けることができない」という意見がありましたが,実際には羊水を拭き取るのにそんなに時間はかかりません.ただ大量の胎脂が付着している場合には,装着に時間がかかることがあります.あらかじめガーゼを濡らしておき,初期処置の段階で電極装着部位の周囲をしっかり拭いておくとよいでしょう.ちなみにこの2つの研究では,蘇生開始直後に心電図を装着しています.