ブックタイトルイナダ(研修医)も学べばブリ(指導医)になる
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イナダ(研修医)も学べばブリ(指導医)になる
はじめに 臨床は実に面白い.病歴と身体所見でほぼ80%疾患を絞り込むことができるといわれるものの,時に診断も苦労するもの.研修医や若手医師たちが結構苦労しているのをよくみかけませんか? 「患者が座れば,ピタリと当たる」なんて,よほどの占い師か詐欺師じゃないとあり得ないのが臨床の世界. 患者の自発的な話を聞いているだけでは診断にたどり着かない.患者各々の症状に対する解釈も異なれば,期待も異なります.患者の訴えを有機的につなげて,本当の主訴は何なのか,そして自分の臨床推論と論理的につきつめる作業が大事なのです. 話を長々と聞けば患者の満足度が上がると勘違いしてもいけません.正確な診断ができなければただの●▲×だ(失礼!).漫画『ワンピース』のなかでチョッパー(医者見習い)が,ドクターくれは4 4 4に,こっぴどく叱られるシーンがある.「いいかい? 優しさだけじゃ,人は救えないんだ.人の命を救いたけりゃ,それなりの知識と医術を身につけな.腕がなけりゃ,誰一人救えないんだよ」 系統立てた臨床推論は1つ1つ疾患と照らし合わせながら,けして受動的ではなく能動的に,患者から根ほり葉ほり生活背景まで含めてカギとなる話を引き出して,訴えをパッケージングしつつ,論理展開していくから面白いのです. 本書はcommonな主訴を取り上げるようにしたので,日常臨床の一助になればと思います.さらに各章の後半部分で論理武装してもらえば,若先生たちへの指導に役立つこと間違いなしでしょう.ほめ育ての極意,「ほめる→改善点を具体的に指導→ほめる」の愛のサンドイッチで,若先生たちをその気にさせましょう. 正確な診断によって患者の笑顔が得られるよう,心より応援しています.林 寛之