ブックタイトルイラストを見せながら説明する 育児のポイントと健康相談
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イラストを見せながら説明する 育児のポイントと健康相談
116 第Ⅱ章 病気のチェック解説先天性股関節脱臼 大腿骨頭が寛骨臼蓋から脱出した状態をいう.完全に脱臼している場合も亜脱臼や臼蓋形成不全の場合も含む.成人してからの変形性股関節症の90%近くが先天性股関節脱臼の結果であり,現在日本では年間4 万件の人工股関節全置換術が実施されている事実の認識は大切である.原 因 ?????????????????????????????????? 家族内発生はあり,女児に多いが遺伝子は特定されていない.骨盤位や下肢伸展位分娩の場合に多い.よくみられる症状 ????????????????????① 脚長差[イラスト頁のアリスのサイン(Allis’sign)を参照].臥位で両下肢の膝を立てて比べると患側の膝が低くみえる(ただし,両側性では差はみられない).②股関節の開排制限③ クリックサイン陽性(両手で膝関節を屈曲位でつかみ,股関節を外旋し,中指で大転子を持ち上げるとクリック音を感じる)④ 大腿皮膚溝の非対称スクリーニング 生後3?4 か月健診のときに発見され,6 か月未満でリーメンビューゲル装具の治療を受けることが望ましいが,この時期の健診漏れも多く,現在発見体制の見直しが検討されている.その中で松戸方式(松戸市が行っている先天性股関節脱臼のスクリーニング方式)が,診察技量にかかわらずリスクのある児を発見できる点で注目されている.今後はさらにより効率的なスクリーニング法が検討されていくと思われる.【松戸方式】 ① 女児1 点,② 家族歴1 点,③ 骨盤位1 点,④ 大腿皮膚溝の非対称1 点,⑤ 開排制限2 点,⑥ クリックサイン3 点.以上のうち2 点以上は要精査とし,エックス線写真を撮る.出生児のうち精査を受けるのはおよそ15%である.一般的な対応と注意すること ??????家庭での注意 下肢の自動運動を制限しない(下肢を衣服でくるみこまない).気になる場合は股の間にできるだけ厚いおむつを当てる.紙おむつならば2 枚当てる.抱いているときは,コアラ抱っこ(イラスト頁を参照)をし,股はなるべく開いておく.無理に下肢を伸ばさないように気をつける.検 査 前述の症状が認められ,股関節脱臼が疑われる患者に対して行われる.生後6 か月以前の児など,骨端核出現以前では超音波による検査が有用である.先天性股関節脱臼に興味のある医師を対象に,「乳児股関節エコーセミナー」が開催され,エコー技術の普及が図られている.また単純エックス線写真で,大腿骨頭核の大きさ,骨頭核の位置のずれ,寛骨臼蓋角などについて検討し,脱臼,亜脱臼の程度を診断する.必要があればMRI で三次元的な脱臼の状態を明らかにする.治 療① 軽い脱臼や臼蓋形成不全の場合は,厚い股おむつを当てる.② 生後3?12 か月頃までは,リーメンビューゲル装具(イラスト頁を参照)を装着する.③ リーメンビューゲルを装着しても治らない場合には,入院して牽引療法を行う場合もある. これらの保存的な治療をしても亜脱臼や臼蓋形成不全の残る場合には手術を行うこともある.先天性内反足??外反足 先天性内反足は出生時から内反,尖足位に足が拘縮している足の変形疾患である.その変形は,内反,尖足,内転,凹足の4 つの変形が複合した状態である.その病態は,足根骨の形態異常(低形成)と配列異常である.踵骨の前方部分が距骨の下に入り込むことによって尖足や内転が生じてしまい,そのために尖足,内反を生じてしまう.