ブックタイトルベッドサイドの小児神経・発達の診かた 改訂4版

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概要

ベッドサイドの小児神経・発達の診かた 改訂4版

117A 反射の診かたの基本反射reflex とは,末梢から入った感覚刺激が中枢神経系の上位中枢に統合されず,途中で短絡されて,一定パターンの反応を引き起こすものをいう.反射が起こる中枢部位により,脊髄反射,脳幹反射,間脳などさらに上位中枢での反射に分けられる.小児期は,脳の発達過程において,多彩な反射が出現,消失する.生後の中枢神経の発達は,髄鞘化やシナプス形成により,脊髄から,脳幹,大脳へと進行していく.反射は,下位ニューロンにより運動パターンの発達として形成され,上位ニューロンが発達すると下位ニューロンを制御して過剰な反射を抑制し,また新たな反射が形成されていく.小児期の反射は,主に中枢神経系の発達により消失して行く原始反射(B),出現してくる姿勢反射(C),哺乳摂食行動に結びついた反射(D),成人同様にみられる深部反射と表在反射(E),および病的反射(F)に分けられる.1 乳児の反射の診かた乳児期は,各月齢により出現あるいは消失している原始反射や姿勢反射を確認する.月齢および運動発達レベルを確認し,その時期に重要な反射を中心に診察する.背臥位の乳児は,筋緊張,四肢の動きを観察後,足間代,足底把握反射,非対称性緊張性頸反射,頸性立ち直り反射,手の把握反射の順番で診察し,手を把握させたままで引き起こし反射をみる.側胸部で抱き上げて,自動歩行,陽性支持反射,飛び跳ね反射,背屈反射をみる.座位獲得後の乳児では,座位のまま診察できる側方パラシュート反射をみて,検者に慣れてから,腹臥位で姿位,筋緊張を診察後,Landau 反射,y か月以上なら側胸部で抱き上げて前方パラシュート反射をみる.Moro 反射など子どもに不快な反射は最後に行うなど,診察順番を工夫する.途中泣きだしたり動いたりして,筋緊張が強くなることがある.腱反射を誘発するには,筋を適度に弛緩させておくことが必要であり,また,姿勢反射のなかには緊張が強くなるとうまく誘発できないものもある.深部腱反射は最初に実施する,あるいはあやしながら泣きやむのを待ったり,哺乳,食事中や睡眠中など,静かになったときを選んで行う,母親に抱いてあやしてもらうなどして,力が抜ける瞬間を待って診察するなどの努力も必要である.6