ブックタイトル専門医がリードする小児感染症ケースカンファレンス

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概要

専門医がリードする小児感染症ケースカンファレンス

96  臨床経過としては突発性発疹を最も疑うが,発疹の性質,粘膜疹,カタル症状などから他の疾患の可能性が示唆され,保護者に確認すると周囲で麻疹の小流行が確認された. 急性期と回復期のペア血清でHHV?6 と麻疹に対する抗体を調べ,麻疹特異IgM の上昇とHI 抗体の有意上昇を確認して麻疹measles と診断した.母体からの移行抗体が残存しており,いわゆる修飾麻疹の形をとったものと考えられた.流行状況の確認,細かい臨床観察が重要である.解 説 乳児期に発熱と発疹を呈する疾患は多数あるが,数日間の発熱と解熱に伴って全身の紅色斑丘疹をみれば,突発性発疹を鑑別診断の第一に挙げるだろう.しかし,本症例では発疹が一部出血性でまた発疹の赤みが突発性発疹より強かったことから,突発性発疹ではない可能性を考えた.他にもエンテロウイルスenterovirus による発熱と発疹が,突発性発疹と同様の臨床経過をたどることがある.岡田らによれば,突発性発疹と同様の臨床経過をとった症例の約8 割はヒトヘルペスウイルスHuman herpesvirus6 型(ときに7 型)であったが,残りはHHV?6,7 の感染が否定され,複数のエンテロウイルス感染症が確認された1).診断のプロセス診断結果麻 疹・地域で発疹性の疾患が流行しているか.・発疹以外に発熱やカタル症状がみられるか.・発疹が出血性であるか.・口腔粘膜疹がみられるか.診断に至るワザ