ブックタイトル専門医がリードする小児感染症ケースカンファレンス
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専門医がリードする小児感染症ケースカンファレンス
110 胃腸炎症状を呈している小児がけいれんを起こした場合,最初に実施するのは,全身状態(循環,呼吸状態)と意識状態の評価である. 全身状態が良好で発作後の意識障害を認めない場合,乳幼児では,熱性けいれん,軽症胃腸炎関連けいれん,憤怒けいれんなどの機会性けいれん(特別な状況で起こるけいれん)を最初に考え,けいれんが起こった状況(発熱の有無,啼泣と関係しているか)やけいれんの既往や家族歴を把握する必要がある.機会性けいれんが否定的な場合には,良性乳児けいれんやてんかんを鑑別に挙げて,経過を観察しながら脳波検査や画像検査などの精査を行う.年長児ではてんかんや失神(神経調節性失神や不整脈などによる)の鑑別が重要となる. 発作後に意識障害が遷延する場合は,けいれんや使用薬剤による影響を考慮しながら,脱水,電解質異常,低血糖,急性脳炎・脳症を鑑別する.ただし,胃腸炎症状と直接関係のない,非けいれん性てんかん重積や代謝異常,中毒(薬や銀杏など),事故(虐待を含む)の可能性も考えて,必要に応じて検査を追加する必要がある. 無熱性けいれん児にロタウイルスrotavirus 感染が判明した場合は,一般的に軽症胃腸炎関連けいれんとして対応することが多いが,意識障害が遷延する場合はロタウイルス脳症と考えて対応する必要がある.とくに急性脳症の最重症型である出血性ショック脳症症候群の場合は,ショック,多臓器不全,DIC を呈しながら,急激に脳診断のプロセス診断結果ロタウイルス胃腸炎+軽症胃腸炎関連けいれん<消化器症状とけいれん・意識障害>・胃腸炎症状を呈する乳幼児の無熱性けいれんでは,非発作時の意識 障害の有無を確認する.・けいれん後に意識障害が遷延する場合,すみやかに原因を探る.診断に至るワザ