ブックタイトルTEXT形成外科学 改訂3版

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概要

TEXT形成外科学 改訂3版

394各論Ⅱ 後天性疾患顔 面a 眼瞼の美容外科ⅰ) 重瞼術 東洋人は一重瞼が多いが眼窩脂肪も多いため,腫れぼったい印象の目になる.重瞼術は単に二重を作るということではなく,個々の解剖学的特性を理解して手術を行う必要がある.重瞼線は上眼瞼挙筋腱膜の一部が眼窩隔膜,眼輪筋を貫いて皮膚に付着することで形成されている.同部にこれと同様の癒着を作ることが重瞼術の原理である.手術は切開法と埋没法に大別されるが,傷が目立たず二重が長持ちする方法が求められる.埋没法は広く行われており,手技が比較的簡単であるが,重瞼線が消失しやすいという欠点がある.重瞼予定線に沿って数ヵ所浅い小切開を加え,眼瞼皮膚側より瞼板ないしは瞼板上縁を通した糸を切開線上で縫合することにより,皮膚との間に線維性癒着を作る.埋没糸を瞼板に通す方法では,角膜を損傷しないように糸を十分に埋入させる. 一方,切開法では侵襲が大きくなるが,持続性もあり確実とされている.埋没法が優先されることが多いが,眼瞼皮膚が厚い,眼瞼が腫れぼったく脱脂術を要する,余剰皮膚があるなどの場合には切開法がよい.また埋没法で行った重瞼線が外れた症例にも適用される.重瞼予定線に沿って皮膚を切開し瞼板前組織の一部を切除した後,創縁を瞼板に縫合固定し,皮膚と瞼板の間に癒着を形成する.瞼板以外にも翻転した隔膜や挙筋腱膜に固定する方法がある.余剰皮膚があれば切除する. また,腫れぼったい目の場合は眼窩隔膜を切開して,眼窩脂肪の摘出(脱脂術)を加える場合もある.脱脂術では十分に止血を行うことと脂肪を取りすぎないことが大切で,取りすぎると上眼瞼溝が陥凹し老けた印象の目になりやすい.狭い重瞼幅を広くすることは可能だが,いったん広く作った重瞼幅を狭くすることは容易でなく,重瞼幅の設定には注意を要する.合併症としては血腫,重瞼幅の左右差,広すぎ・狭すぎ,余剰線,重瞼線の消失,眼瞼や睫毛の外反,眼瞼下垂,角膜損傷,縫合糸膿瘍,異物肉芽腫,瘢痕などがある.ⅱ) 内眼角形成術 東洋人は特有の蒙古襞すなわち内眼角贅皮により,内眼角間の距離が見かけ上広くなっている場合がある.美容を目的とした軽度の蒙古襞に対しては内田法(図6)やZ 形成術が多く用いられるが,内眼角部は肥厚性瘢痕となることがあり注意を要する.b 鼻の美容外科 鼻の手術には隆鼻術,低鼻術,鼻尖形成術,鼻翼形成術などがある.鼻は顔面の中央にあり目立つことからその形態の改善を希望する患者は多い.東洋人は隆鼻術が多く,欧米では低鼻術などの整鼻術が主流である.ⅰ) 隆鼻術 隆鼻術では単に鼻を高くすれば満足が得られるということはなく,個々の結果に対する希望が細かい内容のことも多い.また,若い男性に多いとされるが,中には醜形恐怖症の患者もいることから,それぞれの精神状態に十分な配慮が必要である.術前に十分な対話を行い,適応を判断する.また鼻背部皮膚の状態や鼻内所見もよく確認する.隆鼻術は人工材料を用いる場H.身体各部の代表的治療法1図6?内眼角形成術(内田法)