ブックタイトル下肢臨床症候の診かた・考え方
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下肢臨床症候の診かた・考え方
第2 章 膝関節・下腿部の臨床診断総論106帯の走行など,解剖学的構造を頭に浮かべてイメージしつつ,評価を行う.その場合でも左右差を評価することが重要である.Ⅵ. 身体所見理学検査で診断上重要な点は,個々の患者が本来有しているアライメントや生理的な弛緩性laxity などを念頭に置いたうえで,診察にあたることである.そのためには,両側膝を同様の条件で評価し,左右差の有無を比較する必要がある.そのためには,内外両側からテストできるような診察の設定が望ましい(図3).身体所見をとるための方法として,各疾患に対し数多くのテストが考案されているが,それらの手技を的確に適用するためには,かなりの習熟を要するものも多い.したがってテストを行う前に,同僚や知人を対象に練習を重ねて,正しく手技が行えるようにしておく.また数多くの手技を覚えてすべてを行うことよりも,検者にとって最も習熟した手技を活用する.たとえば前十字靱帯損傷による動的な前方亜脱臼をみるために,pivot図1 立位荷重位での下肢アライメントの観察a:正常のアライメント(正面),b:外反膝(左膝正面),c:反張膝(右膝側面)a b c図2 関節液貯留による関節腫脹a : 図下側の右膝において関節液の貯留があり,周囲の腫脹のため,膝蓋骨の輪郭が対側に比べ不鮮明となっている.b : 関節液貯留のある場合,両手で膝蓋骨の内外側と近位部を触れつつ片方の手で押してみると,もう片方の手で液体の移動を感じることができる.a b