ブックタイトル抗リン脂質抗体症候群合併妊娠の診療ガイドライン
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抗リン脂質抗体症候群合併妊娠の診療ガイドライン
12第2章 抗リン脂質抗体症候群合併妊娠の診療ガイドラインCQ1 どのような状況において抗リン脂質抗体(aPL)を測定するのか?推 奨1.以下のような状況では,aPL を測定することが妥当である. ・2回以上の連続した妊娠10 週未満の原因不明流産の既往 ・妊娠10週以降の原因不明子宮内胎児死亡の既往 ・子癇,重症妊娠高血圧腎症(特に早発型)や胎盤機能不全(胎児発育不全)の既往 ・血栓症の既往 ・膠原病(主に全身性エリテマトーデス)合併の場合 ・妊娠検査で梅毒反応の生物学的偽陽性,あるいは血小板減少を認めた場合 ・胎盤早期剥離の既往根拠の確かさ:C2.以下のような状況においては,aPLの測定は推奨されない. ・不妊症の場合 ・臨床症状がなく,抗リン脂質抗体症候群(APS)の家族歴のみを有する場合根拠の確かさ:C3. 以下のような状況においては,aPL の測定に関しては賛否両論ある.検査を行う場合は十分なインフォームドコンセントが必要である. ・生化学的妊娠(化学流産)を2 回以上繰り返す場合 ・体外受精で反復着床不全の場合根拠の確かさ:C背 景これまでに産科合併症とaPL との関連性については数多くの報告があるが,必ずしもEBMが明確に確立しているわけではない.2006年に発表された「抗リン脂質抗体症候群改訂分類基準」 1()表2-1)では,抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断には臨床所見と検査所見の両者が陽性であることが必要とされ,臨床所見に含まれる血栓症と産科合併症が定義されているが,各々の産科合併症に対するaPL 検査の有用性に関して過去の報告の見解は決して一致してはいない.その原因として,信頼性の高い臨床研究が少なく,研究方法など臨床研究間の格差も大きく,容易に比較検討ができないことが挙げられる 2, 3).そもそもaPLといっても多種多様であり,検査法,カットオフ値の設定や再現性(APS 分類基準では,陽性の判断は12週後の再検査が必要と