ブックタイトルEPDS活用ガイド

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概要

EPDS活用ガイド

 今から10年ほど前に,EPDSの解説書の翻訳を岡野禎治先生から依頼され,精神科領域の章を岡野先生が,産科に関わる章を私が翻訳して「産後うつ病ガイドブック─EPDSを活用するために─」(南山堂)を出版しました.内容的には,イギリスの事情と日本の現状とに大きな差があり,かなり専門的なことも多くふれられていたこともあり,助産師・保健師・看護師をはじめ一般臨床の医師も手軽に使うには少し敷居の高い本であったようです. その後,EPDSはその活用の場がどんどん広がり,今ではかなり一般的に使われるようになりました.しかし,実際には使用する時期や区分点の解釈,点数の解釈などで混乱も生じており,利用にあたってのさまざまな疑問や質問もでてきました.電化製品などは,詳しい説明書と一緒に,今からすぐ使うための読みやすい取り扱い説明書(トリセツ)が別についてきます.このEPDSも,いきなり難しい専門的な解説書を読んで使用するのではなく,まずは実践的で日本の状況にあったトリセツが必要だと考えました. そこで,本書はよくある医学書のように数字や難解な専門用語がぎっしりと詰まったものではなく,明日からすぐにEPDSが使えるようなイメージで作ることにしました.まずはEPDSをきちんと日々の臨床現場で使ってもらうことを最優先に考えたからです.できるだけ分かりやすく,平易な言葉とパッと見て理解できるようなイラストで構成し,一度読んでも分かりにくく疑問に思われる点,あるいは大事おわりになポイントは「Q&Aコーナー」で繰り返し強調して,理解をさらに深める工夫をしました.読みやすく平易な内容であっても,EPDSの日本語版を作成され,日本における周産期メンタルヘルスの第一人者である岡野先生に監修していただき良書ができあがったと自負しています. 本書はEPDSの使い方に焦点をあて,誰もがきちんと理解して使用できるようになることを願って作成されました.周産期メンタルヘルスとしては,EPDSだけが大事なことではなく,他のさまざまな質問票や個々の問診,現場の対応,さらには異業種間の連携などたくさんの大切なことがまだまだあります.それらについては,拙著「これからはじめる周産期メンタルヘルス」(南山堂)も参考にしていただきたいと思います. 最後に,この企画に対して一緒に試行錯誤しながら,できるだけわかりやすい入門書を作り上げるべくお世話くださった南山堂の窪田雅彦氏と山田歩氏には厚く感謝申し上げます. 周産期メンタルヘルスの現場で,多くの職種の方々が本書を使って明日からの臨床に役立てていただき,さらにこの領域に関わる方がもっともっと増えていってくれることを期待しています.そして,本書を周産期メンタルヘルスへの最初の扉として,これからもっと専門的な論文や書籍にどんどん興味をもって読み深めていかれることを期待して,あとがきとさせていただきます.  2017年9月 某スターバックスにて   宗田 聡