ブックタイトルEPDS活用ガイド
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EPDS活用ガイド
EPDSとの出会いから日本語版作成まで イギリスでは1970年代から,専門家の間で産褥期のうつ病が着目されていました.しかし,「産後うつ病」という言葉はまだなじみの薄い言葉でした.1980年代初頭に女性誌に“PostnatalDepression”という用語が掲載されたのを契機に一般にも普及し,日本でも「産後うつ病」と訳され定着しました. 18世紀のフランス人精神科医Marceの名をとった周産期精神医学の学会The Marce Society for Perinatal Mental Health(https://marcesociety.com/)が正式に開催されたのは1982年でした.私は恩師鳩谷龍先生(三重大学医学部精神神経科教授)とともにこの学会に参加して,周産期精神医学という新しい臨床研究分野の幕開けを感じました. さて,EPDSの開発者であるJohn Cox教授との出会いは,彼がこのMarce Societyの学会長を務めた1988年のことでした.学会は,Wedgwoodなどで有名な陶器の都市, イギリスのStoke on TrentにあるKeele 大学で開催されました.この時,私は「マタニティー・ブルーズとコルチゾールの関連」という研究発表をしましたが,その発表直後に,Cox教授から「昨年(1987年)にEPDSという産後うつ病のスクリーニングを開発したので,ぜひ日本でもEPDSの妥当性を検証してもらえないか」という誘いを受けました.それが私とEPDSとの最初の出会いでした. 帰国した私は,早速日本語版の作成を開始しました.翻訳に際して特に留意したのは,翻訳の正確さを最大限高めるため,バック・トランスレーション(逆翻訳)という手法を用いたことでした. 図1に示したように, ①EPDS 原文( 英語)を私が翻訳して② 日本語翻訳文を作成しました.そして,日本語にも英語にもに精通した第三者のスコットランド出身の学者に,① を見せないで② の英訳をお願いして,③ 逆翻訳原稿を作成しました.なお,スコットランド出身の学者にお願いしたのは,EPDSが開発EPDSの「これまで」と「これから」 産後うつ病のスクリーニングテストとして知られるエディンバラ産後うつ自己評価票(Edinburgh PostnatalDepression Scale;EPDS)は,1996年に岡野禎治教授(三重大学保健管理センター教授)によって日本語に翻訳され,使われるようになりました. 現在も周産期メンタルヘルスケアの第一線で活躍している岡野教授に,EPDSの「これまで」と「これから」を聞きました.- 2 - - 3 -第1 章 EPDS-Overview