ブックタイトルまるわかり創傷治療のキホン
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まるわかり創傷治療のキホン
近年,褥瘡の創の悪化(変化・変形)の原因が,創への影響を考えない不適切な体位変換,身体移動,ベッド操作やオムツ交換にあったことが分かった.これまでに,これらの関係を指摘した人も論文もない.すなわち,体位変換は諸刃の剣であり,これまでは静的外力の影響排除ばかりが考えられてきたが,静的外力とともに起きる動的外力についてはほとんど無視されていた.ところが,この動的外力が褥瘡を悪化させ,褥瘡特有のポケット,段差,肉芽塊,裂れつ隙げきなどをつくっていたし,褥瘡が難治性慢性潰瘍といわれていた原因でもあった.本項ではこれらの具体的な状態とその発生メカニズムについて述べる.体位変換は諸刃の剣であり,良い効果と負の効果がある(図3-41).良い効果とは,体位変換が静的外力を排除していたことであり,負の効果とは,動的外力の影響であり,これはまったく無視されていた.すなわち,良い効果はすでに周知のことであり,2時間ごとの体位変換を行い,体圧分散マットレスの質を考え,ベッド操作や身体の移動の際に圧とずれの負荷をなくすことである.この静的外力の排除は,かなり徹底されてきているので成果は十分上がっているといえる.一方,負の効果である動的外力の創への影響については,今までまったく認識されておらず,これがどのように作用をし,どのように創に影響を与えるかについてもまったく調べられていなかった.筆者は6 ~ 7年前より創をよく見ることが大切で,体位変換は諸刃の剣である体位変換には功罪相反する2つの効果がある1-4)7 体位変換の極意Ⅰ 褥瘡183糖尿病患者の足病変は,難治で再発しやすく,軽微な傷が感染や壊疽,ひいては足切断につながる可能性がある.しかも,知覚低下や視力障害などのために本人は皮膚病変に気づきにくい.治療においても,経過を見るときも,これらの特徴を常に念頭に置く必要がある.乾燥・亀裂糖尿病患者は自律神経障害による足の発汗低下のため,皮膚が乾燥し,硬くなった皮膚では亀裂も生じやすい.30 ~ 40代でも,亀裂が非常に深いことがあり(図3-95 a),しかも痛みを感じにくいため無治療で,素足にサンダルを履いて歩いていることもある.サリチル酸ワセリンや尿素軟膏を塗布して靴下を糖尿病足病変の特徴実際のフットケアa 深 い亀裂があり,出血している図3-95 糖尿病患者の足底の亀裂b サ リチル酸ワセリンを数日塗布後削ると,きれいに削れる第3章慢性潰瘍5 フットケアのポイントⅡ 糖尿病潰瘍254